経歴について(その4) ~ 業者選定(おまけ)

前の2回で私が経験した業者選定の話をしましたが、今回はそのおまけ(3回目?)です。

システムの導入にあたって、複数のITベンダーのデモを何度か見せていただいたことがあります。いずれも地方公共団体が共同利用するシステムの導入で、利用者である各団体の担当者が参加して、各社のベンダーのデモを順番に見て比較する形です。デモの時間などは同じにして、各社の比較が不公平がないようにしています。

デモを見ていて私が気になってしまうのは、システムの機能の差異もさることながら、各社(担当者)の説明の仕方の差異です。

デモの実施にあたっては、あらかじめ「こんな内容で」ということは伝えたりはしますが、どういう説明をするかは各社にお任せしているので、説明の仕方にはやはり差異が出てきます。その差異は理解のしやすさにつながってきます。仮にいい機能をもっていたとしても伝わらなければ相手の心には響かないことになります。システムのデモといいつつ、プレゼンと一緒ですね。

もちろん、システムのデモなので単に説明が上手いだけではだめで、システムにも精通しておく必要もあります。参加する担当者の知識のレベルにも差異があるので、ITにあまり詳しくない人にも伝わるようにする必要がある一方で、詳しい人からのより突っ込んだ質問にも答えられるようにしておく必要なあるので、そう簡単なことではありません。

デモの基本的な流れは、
・デモの最初にどういう流れ(内容/時間配分)で説明するかを伝える
・システムの全体構成を伝えてから、個々の機能の説明をする
といった感じで、ストーリーを持って説明した方が分かりやすいくなります。ただ、ベンダによってはいきなり個々の機能の説明をするところもあって、「分かりづらい説明をしているなあ」と感じることがありました。

依頼者側としては、あらかじめデモの内容について「こういう形でお願いします」と伝えておいて、システムの差異に集中できるようにする方法もあるかと思いますが、逆にあまり指定せずに各社がどういう説明をするかを見比べて、コミュニケーションスキルを見定めるという方法もあります。(もちろん、説明の仕方を見比べるということはベンダーには内緒です。)

あと、説明の仕方以外にも、深く印象に残っている事例があります。

とあるベンダーのデモの後に質疑応答を行いましたが、私の質問に対して担当者がしどろもどろになってしまう場面がありました。デモには複数の担当者が一緒に来ていましたが、私の質問(突っ込み)に対して他の担当者が「それはそうですよね」と言わんばかりにうなづいている場面がありました。

その人たちからすれば、こちら(顧客側)に寄り添っているつもりなのかもしれませんが、私から見れば質問に答えられないのを一人の担当者に押し付けて、さも自分には関係ない(責任はない)かのように映りました。
こちらの質問(突っ込み)が当たり前のように同意するぐらいなら、事前にクロスチェックして想定質問を考えてほしいですし、仮に事前にチェックが難しいにしても、自分のこととして主担当と一緒になって誠意ある姿をみせてほしいと思いました。

この姿を見て、私は「このチームは一体感がないな」と感じました。チームがバラバラだと感じるところに大事なシステムを任せるのは不安がありますね。

このように単にデモといっても、依頼する側は様々な視点で見ています。もし、開発ベンダーの方がこれを見られていたら、依頼する側は必ずしもシステムの機能だけを見ているわけではないということを認識していただければ幸いです。

システムに限らず、製品(スキル)がよいだけでも宣伝力(アピール力)が高いだけでもだめで、両方を兼ね備えておかないといけないので、「ものを売る」というのはやはり簡単なことではないですよね。
こんなことを書いている私自身も宣伝力(アピール力)が弱く、一番の課題となっています。

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