経歴について(その2) ~ 業者選定(その1)

前回から私の経歴について書いていますが、今回はシステム構築を委託する業者を選定する業務経験について書いてみます。
地方自治体のシステム構築に関する業者選定なのでその前提にはなりますが、他の業種においても大きな違いはないと考えています。

業者(もしくは導入するシステム)を選定する方法として、大きく2つに区分されます。
・コンペ方式(または総合評価方式)
・プロポーザル方式

前者は、導入する(提案する)システムが明確に決まっていて、そのシステムの評価点と価格で選定する方法です。
後者は、導入するシステムは明確には決まっておらず、導入する業者のスキルや実績と価格で選定する方法です。

要は、もので選ぶか、人(会社)で選ぶかの違いです。

前者は導入するものが見えているので、それが自社に適しているのかどうかはある程度判断しやすいかと思います。
一方で、後者は導入するシステムは(ある程度の方向性は示されるものの)明確にはされておらず、詳細は業者決定後に協議して決めていく形となるため、その業者を選ぶことが果たして自社に適したシステム構築につながるかどうか、また価格に見合ったシステムとなるのかは不透明になりがちです。

プロポーザル方式は人(会社)で選ぶと書きましたが、大体の場合は過去に同様のシステムを構築した経験があるか、構築するシステムがどのような仕様(機能や画面構成など)になるかといったことで評価点がつけられており、どちらかといえば後者が重要視されることが多いため、人で選ぶというよりはもので選ぶという方が感覚的には近い気がしています。

私が過去に経験した業者選定もプロポーザル方式で行ったので、その経験を元に話を進めます。

私はシステム構築する側(業者選定される側)の経験もあり、この「人で選ぶ」プロポーザル方式という形にはある思いを持って取り組みました。

委託する側からすれば、実績のある「○○株式会社」に依頼すれば誰が担当でも問題ないだろうと思うかもしれません。しかし、SEとしてシステム構築の仕事をやっていた時には、正直「同じ会社でも担当者によって、システム構築の成否が大きく変わる」と感じていました。

これが例えば家電のような出来合いのものを購入するのであれば、「○○株式会社」の製品はどの担当者(営業)から購入しても同じでしょう。
(こちらは上記のコンペ方式で選定するパターンとなるでしょう。)
しかし、これからどういうシステムを構築していくかを顧客と協議していくプロポーザル方式では、顧客と協議していく担当者がITスキルが低かったり、顧客の意図を組み切れなかったりすれば、できあがるシステムには当然大きな違いが出てくることになります。

システム構築プロジェクトにおいて、構築するシステムが明確に決まっていれば、それを開発するのはそんなに難しいことではありません。難しいのは(トラブルとなりがちなのは)どういうシステムを構築するかを決めていくところなのです。いわゆる、要件定義という工程のところです。

この要件定義の仕事はとても難易度の高い仕事であり、担当者には高いスキルが求められます。
ただ、残念ながら高いスキルを持つ人材ばかりではないので、案件によってはスキルが十分でない担当者が配置される場合もあります。

そういった担当者個人のスキルによって左右されてしまうことは避けたかったため、私が担当したプロポーザル競技ではできる限り「人を選ぶ」視点の評価項目を入れたいと考えました。

続く

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