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[ネタバレあり]レディ・プレイヤー1を観て

久しぶりに映画を見ました、ito.ur.rightです

5/8にレディ・プレイヤー1を観に行きました。

映画は「夜は短し歩けよ乙女」以来です。元々あまり観る方ではありません。

今回観に行った理由はキャラメルポップコーンが食べたかったのとTwitterで話題に上がっていたため。

以下、感想を書いていきますが、これを書くために他の方の感想・総評は読んでいません。原作も読んでいません。多々取りこぼしや間違い、独自解釈がある可能性があります、あしからず。


・全体の感想 [ネタバレなし]

・全体の感想 [ネタバレあり]

・好きだったところ [ネタバレあり]


全体の感想 [ネタバレなし]

具体的な話は下の方で書きますが、滅茶滅茶面白かった

とてもボリュームがあって2時間のところ3,4時間見た感覚になる。パロディ元をあまり知らない私でも充分に楽しめた。登場キャラを探すだけの映画ではない。

最近のCGは凄いんだなと実感した。画面内の物量、情報量が多く派手でもあり細かくもある。キャラの肌とか綺麗。

アバターが人らしい動きをしていて、アニメ的な印象は受けなかった。あくまで中にプレイヤーがいることが感じられた。

ストーリーも丁寧で分かりやすく個人的にはオチも良かった。[後述]
終盤はかなりエモい。

もう一度見たい。(映画館というよりDVDとかで見直したい)


以下からネタバレありの感想・考察を書きます。

全体の感想 [ネタバレあり]

あらすじ

2045年。環境汚染や気候変動、政治の機能不全により、世界は荒廃していた。そのため、スラム街で暮らさざるを得ない状況に陥った地球上の人口の大半は<オアシス>と呼ばれる仮想現実の世界に入り浸っていた。

オアシス内では現在、創始者であるジェームズ・ハリデーが亡き後流された遺言により、勝者にはオアシスの所有権と5000億ドル相当のハリデーの遺産が授与されるアノラック・ゲームが開催されていた。ハリデーがオアシス内に隠したとされるイースターエッグを探すエッグ・ハンター、通称ガンターが日々3つの鍵とそれを手にするための関門となるゲームに挑んでいた。

オハイオ州のスラムに住む若者ウェイド・ワッツも勝者となるべく日々奮闘していたが、ゲームにはオアシスの管理権を欲する世界2位の大企業IOI社社長、ノーラン・ソレントが送りこんだ参加者もいた。ウェイドは第一の関門を突破するが彼の現実世界にも危険が及び、レジスタンスのアルテミスやオンライン仲間たちとともにソレントの陰謀に立ち向かっていく。(https://ja.wikipedia.org/wiki/レディ・プレイヤー1)

1.この映画は「ゲームをクリアした時の感動」を得る

主人公ウェイドは幼い頃に両親を失い、作中ではおばさんとヒモ男を失う。サマンサも父親をIOI社によって失っている。

主要キャラ二人にこのような悲劇が設定されているが、しかしこれが前面に押し出されることはない。ダンスシーンの後、アルテミス(サマンサ)がパーシヴァル(ウェイド)に怒りから父親の死を打ち明け去って行く場面がある。しかしこの後に、ウェイドが彼女に両親の話を打ち明けるシーンはない。悲劇をアピールしないのだ。

ウェイドが近しい者の死を”なんとか克服する”でもなく、サマンサが直接復讐を果たすでもない。勧善懲悪がテーマではない。また、現実世界の外見的特徴を克服する話でもない。結局IOI社を倒すことになるが、IOI社はあくまでエッグ探しの障害でしかない。

最後にあるのは、あくまでゲームをクリアした感動なのだ。

この映画はゲームの行程を見せるリプレイ本に近いのではないだろうか。

解決すべき問題は全て障害としてゲームの一部に取り込まれるのだ。


2.この世界の主役はハリデーである。

前述のゲームをクリアした感動の「ゲーム」とは何か。

それはエッグ探しであり、ハリデーの後悔である。

パーシヴァルがヒントを探すために、ハリデーとモローのやり取りを閲覧するシーンがある。そこでハリデーはこのオアシスに対して”ゲームのままが良かった”[内容曖昧]と発言している。

ハリデーは死ぬ直前にオアシス内にエッグを隠すことによって、この願望を叶えているのだ。加えて、クリアまでの道中ではハリデーが後悔していた事を試練内に組み込むなどしてプレイヤーが追体験、かつ解決することになる。

作者が現実で出来なかったことを、仮想現実内で、プレイヤーの協力を持って達成する。非常にエモい。パーシヴァルが書類に署名しようとするところはかなりくる。(やっていることは成仏に近い)

ゲーム体験とは異なる、願望を叶える仮想現実の使い方だと思った。エモい。

映画の主役はパーシヴァルであったが、この世界の主役はハリデーなのだ。


3.ストーリーに説得力を持たせる前振り的伏線がすごい。

キャラクターの自然な行動によって必然的にストーリーが展開していく様は「はぇ〜」と言う他なかった。以下、長文。

終盤の全面対決にて、パーシヴァルがサマンサを救うためにアルテミスを撃つ(ゲーム内で倒す)ことになる。彼としてはIOI社から脱出して欲しいのだが、現実に戻ってきたサマンサは放心といった様子で動けない。まあそりゃそうだ。

しかし、すぐ後ろにはソレントが迫っている。絶体絶命。このままではサマンサがまた酷い目にあってしまう。

そこにやってくるのはシクサーズを取りまとめていた体育会系上司。彼はサマンサに近づくと他のシクサーズメンバーと入れ替わり一旦休憩をするように指示を出す。

これによって彼女は助かるのだが、この展開がかなり自然で感動した。

それはここに至るまでのシクサーズの振る舞いによるものである。

シクサーズはVR装置の装着シーンを見るだけでもかなり統率されていることがわかる(軍隊っぽい)。かつ、同時アクセス数よりも多くのメンバーが存在している。彼らは効率的にオアシスをプレイするためにシフト制で、誰かがやられれば交代で誰かがプレイする(火縄銃っぽい)。

効率を重視するシクサーズ内において、メンバーの一人がゲームから離脱し放心状態であれば、体育会系上司がすぐにやってきて交代と休憩を支持するのは当然である。

はぇ〜。驚きと納得が同時に来る。

「人海戦術による機械的効率的システム」が「サマンサ救出」の前振り的伏線になっているのだ。


他にもある。

ダンスシーンで本名を名乗ったパーシヴァルは、それを盗聴されて現実の住所まで特定されおばさん達が爆破される。

身バレの原因を遡りながら考えてみる。

アルテミスに現実で会いたいが故に、パーシヴァルは本名を明かしてしまう。その本名を元にソレントは現実世界のパーシヴァルを特定しようとするが、それに用いられたのはIOI社の購入者履歴である。

IOI社の購入者履歴にウェイドの名前があるのは、IOI社の高価なウェアを購入しているからである。

IOI社の高価なウェアを購入したのは、第一関門であるレースをクリアしゲーム内通貨を獲得したからである。また、安価な装置を使用していたからである。安価な装置を使用しているのは、彼が肉親のいないスタックに住む貧乏だからである。

「ウェイドというキャラ」から「IOI社による個人特定」まで必然的に繋がるのだ。

はぇ〜。

不確定要素がゲームクリアと恋愛感情というのもエモい。


もう一個紹介したい。

大企業社長ソレントのパスワードが特定されるシーンである。紙にパスワードをメモしちゃう迂闊さは目をつぶろう。リテラシーは高く無さそうだし。

一番の原因はパーシヴァルをホログラムで呼び出したことである。

では何故そんなことをしたのか。

パーシヴァルは一般人であり、仮想世界をメインに活動している。彼が恐れるべきは現実の身バレである。

対して、大企業の社長であるソレントは現実の顔は知られている。恐れるべきは”仮想世界の垢バレ”である。オアシスでの悪行が知られては困るのだ。

パーシヴァルに自身のアバターを見せるわけにはいかない。しかし、交渉はせねばならない。となると生身での交渉となる。それでいて優位に交渉するためにホームでやりたい。

結果、ホログラムで彼を呼ぶのは当然のことである。そしてパスワードを見られちゃうわけだ。

はぇ〜。

他にもあるがこの辺りにしておく。


4.パロディまでの流れが自然である

ジャイアントロボが親指を立てながら溶鉱炉に沈んで行くシーンは涙なしでは見れませんでしたね。遡りましょう。

1. ジャイアントロボ作ってる
2. シールド発見。
3. IOI社が第三関門を発見
4. シールド展開
5. サマンサ強制労働(爆弾設置)
6. ジャイアントロボ登場
7. 橋爆破
8. ジャイアントロボ、橋になる。
9. ジャイアントロボが親指立てる。

9のパロディを成り立たせる1~8の自然な流れがあるわけだ。

はぇ〜。


5.誰もが格好良くあり続ける

例えば、ある映画で主人公がバカにされたり恥をかかされるシーンがあるとする。私はそれを観ていて少し辛い。感情がネガティブな方に振れる。これを振り戻すことによってエモさが生成されるのだとは思う。

しかし、レディ・プレイヤー1は違う。

パーシヴァル達は終始格好良いままなのだ。オアシス内に限らず現実でも格好良くアクションを決め、積極的に行動を起こす。上述のような悲劇はさらっと流すだけ。

ほぼずっとポジティブな感情のまま見ることができる。

「共感性羞恥」というのが最近ネットで話題と思う。それが全くない。すごい。

パーシヴァルはオタクである。他の登場人物もだ。レディ・プレイヤー1はオタクが一般化した世界だ。

オアシスでは全てのプレイヤーが格好良く可愛く、理想の姿で振る舞う。互いに理想の姿を受け入れているのである。アキラのバイクに乗っているのも格好いいし、俺はガンダムで行くのも格好いい。

エモい。純粋にオアシスに行きたい。


ダンスシーンは顕著だと思う。

ウェイドの女性慣れの無さやしどろもどろする様子を見ていて、ダンスが得意とはとても感じられない。

「え、なんか優雅な社交ダンスっぽいことしてるところにあわあわするパーシヴァル君入ってった……、大丈夫かこれ、恥かかされたりしない……?」

などと考えていると、彼はウィンドウから曲を選択し足元には四角い場ができる。そしてノリのいい音楽が流れ、さっきの様子と打って変わって自信満々にステップを披露する。周りのプレイヤーを沸かすのである。

「うわ〜、かっけ〜、あんなことしてみてぇ〜」

となるわけだ。

四角い足場から察するに、あれはダンス系リズムゲー筐体をモチーフにしたものではないだろうか。(ダンスダンスレボリューションをイメージしてもらうといい)

つまりクラブらしき場を盛り上げるのもゲームというわけだ。いいなオアシス。

憶測だが、あのダンスもモーションアセットとして、つまりは本人の技量に関係なくかっこよく踊れるコマンドがあるかもしれない。それは理想の姿であるためのものとして。


6.不要な部分はさっぱりしている

エッグを手にした後、かなりさっぱりとしたナレーションで締められる。

「僕たちはオアシスの管理者になって、IOI社を追い出して、不評だけど週2で休みを作ったよ。現実も大事さ(イチャイチャ)」

とてもさっぱりしている。

この最後のナレーション、いわゆる「魔物は姿を消し、街には平和が戻った」じゃないだろうか。

この映画の主題は、上述したようにゲームをクリアすることと考える。重要なのは「どうやってクリアしたか」なのである。クリアした後は蛇足で、安直なハッピーエンドで締めくくられる。昔のRPGのように。

他にもサマンサの仲間(反乱軍)の描写が少なかったりドクロの人の正体が最後まで分からなかったり(現実パートに出てこない)、説明のないところも多い。


好きだったところ[ネタバレあり]

なんか好きだったとことです。思い出したら多分追記したりします。

・ハリデーの死を伝えるシーン、小学生ぐらいの子の顔が険しくていい

・シャイニングでバタバタ死にながら現実世界に戻ってくるシクサーズ

・チャッキーで(同)

・1回目のレースでゴール手前、キングコングが下に姿を隠している。ゴールにつながる裏道シーンで通過するときには主人公側を見ている。

・装置にグレード差がある(ゴムバンド、バンドレス)

・ハリデーの動きがオタクっぽい

・メカゴジラに変身するシーン、脊柱がある

・最終決戦でシクサーズがやられるところ、ゲーム内で縦一列がやられるのと対応して現実でも装置が縦一列に点滅する。全滅するところは気分がいい。

・社長のアバターがスーパーマンみたい

・社長が拳銃持ってくけど結局撃たない

・全てを消し去る爆弾でドクロの人がひるむのがいい

・全てを消して、ランキングから名前を消して満足げにしているの良い。本当の目的はそれじゃないだろ。

・司書がコインを渡すシーン、主人公がベットするのが自然だった

・敵の格好をしたヒロインがそれを脱ぐと本人のアバターになるところ。

・ゲーム内でヒロインが車に飛び込むシーンと郵便配達車に敵の格好をしたヒロインを乗せるのを対比させている?

・装置のワイヤーでアクションをする


長くなりましたが以上です。

滅茶滅茶面白かった。


元気になります。 ケーキを食べたりします。