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心の青あざ

 妻くんが部屋の片づけをしていて、家具に足をぶつけたらしい。ひざに紫色のあざができていた。けっこう広がっていて、生なましい。フランソワーズ・サガンの昔の小説「心の青あざ」を思い出した。
「大丈夫?」
 と私は尋ねた。
「ちょっと痛い」と妻くんはいった。
「気をつけろよ」
「うん。でも、心配」
「何が?」
「ひざを出して、街を歩いていたら、家庭内暴力だと疑われないかしら?」

 おいおい!

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