娘が「きれい!」と言ったもの
今日は娘と一緒に公園へ桜を見に行った。
天気は晴れ。
寒すぎず暑すぎず、心地のよい春の日差しが降り注ぐ、降水確率0%の本日、
娘は長靴を装備した。
ちなみにこれ、購入してからかれこれ2週間毎日履いている。私の記憶によれば、雨の日は一日しかなかったはずだけど。うちのお姫さんからすれば、天気なんて関係ねえ!!!ってさ。履きたいもんを履くんじゃ!!!ってね。
このまま梅雨に突入しちゃうんじゃないかな。もう長靴代のもとはとってくれたと思う。こちらに関しては、引き続き『あなた長靴いつ飽きるの観察』を続けていく次第です。
今日行ったのは、たぶん都内でも上位に入るくらい面積の広い公園。
まだ満開とはいかなくとも、広大な敷地一面に広がる桜たちは壮大だった。このシーズンになるといつも、日本に住んでいてよかったなぁと思う。
きれい。
うつくしかった。
写真の腕前はさておき。
そんなかんじで桜と娘の写真を撮りまくって。園内を歩いているときも、私はずっと、きれいだなぁ、きれいだなぁと桜に見惚れていて。
「ほら、トトちゃん、すごく綺麗だよ!」
数メートル先にある桜の木を指差し、視線はその桜に向けたまま、斜め後ろにいる娘に呼びかけると、
「わぁ、きれい!」
と言う娘の弾んだ声が聞こえた。「でしょ!」と言おうと思って、娘の方を振り返る。
娘の視線は違うところに向けられていた。
石段の隙間に咲いている、一輪のたんぽぽだった。
あああああああああ……!
この瞬間の気持ちは、なんとも形容しがたい。(我が子の小さな発見を写真に収めますセンサーを発動する余裕はあったけど。)
なんだろうな。
足元にいたたんぽぽを見逃さず、「きれい」と言った娘が、うらやましかった。
桜ばかりに目を向けていた自分が恥ずかしいとさえ思った。
30うん年にわたってあんなことやこんなことを経験して、知識と呼べる程立派なもんでもないものをいろいろ吸収してきた私にはもう、娘みたいな視点を持つことは、おそらく無理。
おそらく無理なんだけど、娘の目の高さで自然を見ることを意識してみようかな。そしたら、春という季節をもっと楽しめるかもしれない。
そんな気がした。
その場所から少し歩いたところで、今度はたんぽぽを三輪見つけた。
「たんぽぽだぁ!きれいだなぁ!」
さっき私が教えたその花の名前を言いながら、娘は嬉しそうに花たちを愛でていた。
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