うつ病にてドロップアウト道中記 #6 私がゲーム業界を入るまで。

私は漫画が好きです。アニメや映画も好きです。ゲームも好きだし小説も好き。音楽を聴くのも演劇やオペラやミュージカルを見るのも好きです。

いきなりの自分語りからごきげんようでございます。今回は、私がゲーム業界に入るに至るまでのあれやこれを書こうと思います。

遡ること、ン十年も昔。私は漫画・アニメが大好きな子供でした。それらを通して物語の面白さを感じ、描かれる絵の魅力に心を鷲掴みにされました。漫画やアニメが大きな感動と幸福を与えてくれました。自分も自分の作ったもので、誰かを楽しませたい、感動して欲しいと思いました。結論を言ってしまえば、この気持ちが全てです。これが全ての原動力となったのです。

最初に目指したのは漫画家です。ランドセルを背負っていた頃、図工の時間に描いた絵が県の小さなコンクールで入賞したこともあって、自分には絵の才能があるんじゃないのかと子供心に思っていたことが一番の理由です。そして人付き合いが苦手だった子供の私にとって、漫画家というのは、自分で物語を考えて絵を描くというように、一人で完結できる理想の職業に思えたのです。大人になったら漫画家になろう、と思い、毎日毎日ノートに落書きしていました。しかし、十代も半ばを過ぎて自分の絵の腕に不安を抱くようになりました。一月に何百枚と絵を描いても、それを何年続けても、理想とする絵に到達できない現実が立ちはだかったのです。

自分の描く絵が納得できる理想像にならないことは、漫画家の次に憧れていたアニメーターという夢にも影を落としました。金銭的な理由で絵の専門学校に行くという選択肢が最初からなかったのも大きな要因となりました。

そんな折、意識に浮かんだのは小説とゲームです。どちらも元々好きだったのですが、漫画に対する憧れには一歩劣っていました。漫画にとって重要な絵の腕前に不安を感じて意識に登ったのです。

外連味のある単語、小気味いい文節、テンポのいい文章。文字が物語を織りなして読者に喜怒哀楽を感じさせる小説。それぞれの分野で才能がある人間が協力して作り上げる総合エンターテインメントとしてのゲーム。絵の才能が乏しいと感じていた自分にも、誰かの心を動かすものが作れるのではないか、そう感じました。とはいえ、漫画家の夢も捨てきれず、物語を考えること、絵を描くこと、文章を書くことを続けました。

今は「ピクシブ」や「小説家になろう」といった誰でも絵や文を簡単にアップして、誰かに見てもらえるようになっていますが、当時は人様が立ち上げたホームページに寄与するか、自分でホームページを立ち上げるかしかなかった時代です。私は自分でホームページを立ち上げ、そこに小説やイラストをアップしました。テキストなら毎日15キロバイト以上、イラストならカラーを3日で1枚かいてアップするのを自分のルールとしました。

10代後半から20代にかけては、自分の夢への区切りとするために漫画を描いていくつものコンテストに応募しました。ぶっちゃけ棒にも箸にも引っかかりませんでしたが、その結果をもって、漫画家の夢をキッパリと諦め、本格的にゲーム業界に入る意思を固めました。

自分のシナリオとイラストを使って、フリーのADV作成ツール「吉里吉里」でゲームを作ろうとしました。今ほどインターネットが広がっていない当時、プログラミング言語を調べるのに苦労しました。ようやく見つけたプログラム学習サイトも私には専門的過ぎてほんの触り程度を覚えるのも苦労しました。ネットで同志を募り、同人ゲームを作るためにサークル活動もしました。

金銭的に余裕のある家庭じゃありませんでしたし、親も、漫画家やゲーム会社といった不確かな職業に対する理解はこれっぽっちもありませんでした。なので一人暮らしするための資金を稼ぐため、働いてニートして働いてニートしてニートして働きながら、毎日物語を考えてテキストを打ち、イラストを描いてサイトを更新し、吉里吉里の勉強を進め、サークル活動を行い、漫画を見てアニメを見て映画を見てを繰り返す日々でした。(まあ、当時のサイトはもうありませんし、吉里吉里で作っていたゲームも日の目を浴びる事なく消えました。同人サークルもそれぞれのリアルの事情からみんなの時間がなくなって空中分解したのですけどね……)

そうした活動の成果、自分のサイトで掲載したシナリオとイラスト、掲載してない企画書と完結させたシナリオなどをゲーム会社に送り、その中の一社に運よく拾ってもらえた次第です。

私は、自分に才能があるとは思いませんし、今でも思っていません。何らかの分野で突出した才能を感じられなかったから、色んな事に手を出したのです。もし、これを読んでる方の中に何かしらの夢を抱いている人がいるのであれば、その夢に近づくための何かを毎日続けてください。継続は力です。努力を続けても裏切られることはあります。ですが、それが努力をしない理由にはならないと思っています。何があっても常に前へと進み続けろと言っているわけでは決してありません。生きていく中で、辛いこと、悲しいこと、苦しいことがたくさんあります。そうした事によって立ち止まり、その場に蹲ってしまう時もあるでしょう。仕方のない事です。一番いけないのは、そのままその場から動かなくなる事だと私は思います。傷ついて立ち止まってしまってもいい、でも、多少回復したなら再び歩き出す。前に進むことを止めてしまったら、夢に一歩さえも近づけないと、私は考えています。

「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし! 成功した者は皆すべからく努力しておる!!」

「はじめの一歩」というボクシングを題材にした漫画のセリフです。本当にその通りだと思います。

と、何か偉そうな、説教臭い感じになったので軽く自己嫌悪……。今回はこの辺でどっとはらい。またお会いできれば幸いです。

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