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独立した元スタッフへの言葉と、経営のこと 5.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

お店をつくるために必要と考える投資額の目安は、いまも基本的に変わらないけれど、もし商業施設以外でいま店をつくるのならもう少しローコストでつくろうと試みるだろうし、実際にそれは可能な気がする。
もちろん場所や規模、条件によって変わるし飽くまでも感覚的なものだけれど、小さなパン屋さんなら1千5百万円くらい、小さな飲食店なら1千万円以下でもいまなら可能かもしれない。

内外装にかかる資材などのコストは昔に比べ高くなっているはずだけれど、その上昇分を吸収しコストを抑えることが可能と考えるのは、廃業や撤退をしたお店が多いということに尽きる。
ここまでにぼくが書いてきたものは、前提としてスケルトンの物件を想定しているのでいまの時代、運が良ければ状態の良い居抜物件に巡り合う可能性もあるし、そうなるとぼくの想定より遥かに低い投資額でお店を開業することも可能になる。

居抜きでないにしても高価な厨房機器を中古で見つけれる可能性が高くなったということだし、それも開業して何年も営業しないうちに廃業や撤退されることが増えた分、昔に比べ驚くほど状態の良いものを見つけることも容易になった。
物や状態にもよるけれど、ぼくの感覚ではこういった中古機器の価格は新品の約半額が目安になる。

例えば個人店規模のパン屋さんをするために必要最低限の機器を揃えると、新品だと総額で800万円〜900万円くらいにはなると思う。
中国製の窯などを組み合わせればもう少し抑えることも可能かも知れないけれど、国産の3段窯、通常サイズのラミノア(クロワッサンやパイなどの生地を伸ばす機械)、50コートくらいの縦型ミキサー、ドゥコン、フリーザー、台下冷蔵庫、ラックなどその他諸々を新品で揃えるとなると、やはりこれくらいの額にはなる。

「ボンガード(ドンクさんなどが使用されるフランスの一流メーカー)の窯じゃないと上手く焼けないから嫌だ」「戸倉商事さんのドゥコンでなきゃ生地の状態が」「スパイラルミキサーじゃないと良い生地が作れない」などと身の丈も考えない人は、当然もっと高くつくことになる。
特にパン屋さんは1つ1つの機器が高価な上、数も必要になるため(ミキサーだけ買っても窯がないと焼けないでしょ、という意味)総額となるとその差は大きい。

少し乱暴な計算になるけれど、仮にこの必要最低限の機器をすべて状態の良い中古で購入することができたとすれば、機器への初期費用は新品の半分にあたる約400万円〜450万円ということになる。
初めてのお店をする予算の小さな人にとって、また大抵の人が金利を付けて金融機関へ返済をすること考えると、この約400万円の差額がどれほど大きいかは書くまでもないと思う。

ぼくが 中古機器を薦めるのにはいくつかの理由があり、ここに書いた初期投資額を極力抑えるという意味もあるけれど、減価償却という部分でのメリットもある。
これを書き始めると終わらなくなるので、ここでは割愛するけれど(後述する予定)、初期投資額を極力抑えるということは、それだけ損益分岐点が下がり、回収期間も短くなるという安全経営への近道だと言える。

借入をしてお店や事業を始める以上それはマイナスからのスタートであり、回収し終えた時点が本当のスタートだと考えれば、回収期間は短いに越したことがないとぼくは思っている。

つづく

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