雑文

いつか聞いた言葉だらけの街。上流から流れてくる金塊。桃、芋、そして肉饅頭。あるいはラビズラズリ。融ける絵の具。青色。ここはとても広い洞窟。ただし天井が青色に塗られている。作られた空。偽物の街。何もない街。ただ詩人だけが腰掛の上に座り、頭を抱えている。

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日本語という言葉は欠陥を抱えた言葉のように感じる。僕は名詞だけを使って何事もしゃべっていきたい。名詞だけだ。動詞は一切使わないのだ。動詞を使うためには体力を使わなければいけない。あるいはカード・キーを使ってスイートルームに侵入しなくてはならない。月と星とがアナルセックスをしている部屋に侵入し、金庫にしまいこまれた動詞たちを解放してあげなくてはいけないのだ。「動詞たち」という言葉が抽象的すぎて意味がわからないというのならば、動詞が数多く書き込まれたノートと言い換えてもいい。とにかく動詞を扱うためには体力が必要なのだ…

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夢、命、そして白菜。こんな風に僕は単語だけを羅列して生きていきたい。「夢を叶えるために、あなたは毎日ダンスの練習をしなくてはいけないのよ」とか、「患者の命をなんだと思っているんだ!」とか、「冬に向けて白菜を塩漬けしておかなくてはね…」なんて文章たちには僕はもうほとほとうんざりしてしまった。僕は名詞だけを使って生きていきたい。

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