見出し画像

 大英博物館で再会・・ドイツ人お爺さんと「一期二会」                                        

・・前回「ロンドンの美術館で《東山魁夷》を想う」の続き・・

世界の人口は80億人だと言われていますが、
遠いイギリスに行って、
美術館で知り合った人と二日続けて出会うなんて、
どんな確率なんでしょうか。
これも何かのご縁でしょうか。
しかも現地人ではないドイツ人と・・・。

お爺さん発見

ロンドンのナショナルギャラリーで、
見ず知らずのドイツ人お爺さんから、
親切に絵をレクチャーしてもらった翌日に、
大英博物館開館前の行列の中で、
そのお爺さんを発見したのでした。

なぜか遠回りで

その日、大英博物館を朝一番に予約していた私達は、
近くの公園内にあるカフェで朝食を取りました。
Googleマップで徒歩ルートを検索してみると、
博物館裏の入口が、すぐ目の前、徒歩4分でした。

しかし旦那サンはカフェを出ると、
博物館の方向だけ確認して、
かなり遠回りなのにもかかわらず、
わざわざ正面入口の方へと
スタスタと歩いて行きました。

ロンドンに着いてからほぼ毎日2万歩更新。
もう足はパンパンで、私は少しでも無駄に歩きたくありません。
「こっちの裏口からの方が近いよ。」
しかし彼は全く何の迷いもなく「こっちや。」と、
自信満々に歩いて行きます。
普段はこんな事はないのですが、
仕方なくついていくしかありませんでした。

「すぐそこに入口があるのに!!」
ブツブツ文句を言いながらも正面入口に着いた時には、
まだ開館前なのに既にかなりの行列が。
しかし入場予約済未予約の区別が無く、
行列は一列しかありません。

予約済の私達は、どこに並んでいいか分からず、
とりあえず列の一番後ろに旦那サンを残し、
私だけ列の前にいる係員さん迄尋ねに行くと、
「開館前までは一列で、門に入ってから二列に分かれる。」との事でした。

三度見したよ

さすが大英博物館だと、
見る見る増えていく大行列を横目に見ながら、
列の後ろへ戻っていきました。
その歩いていく途中、
はて?昨日見かけた様な顔が?
半信半疑で顔を覗き込み、
三度見しました。

大英博物館で大爆笑

それはなんと、
昨日お世話になった親切なドイツ人のお爺さんではありませんか。
あちらも最初は気づきませんでしたが、
びっくりして、
「おお!ここにも来たのか?旦那さんは?」
「列の後ろにいる。」と言うと、
「ここに連れて来なさい。一緒に並ぼう。」と言ってくれましたが、
そういうわけにもいかず、
私は「また後で。」と言って、
旦那サンが確保している列の後ろに戻り、
得意気に「誰に会ったと思う?」と切り出して
二人で大爆笑。

入場してから三人で再会を喜び、
そして何故か三人でも大爆笑。
お爺さんは大英博物館には何度も来ている様で、
今回は特別展に来たのだそうです。

大英博物館

遠回りもいいものだ

思い返せば、
もし、私が検索したGoogleマップの言う通り、
博物館裏口から入っていたら、
お爺さんとの再会は無かったでしょう。
不思議なものです。

お爺さんに呼ばれていたのかもしれませんね。
遠回りもいいものだと思いました。

買物リベンジ

大英博物館は、4年前のパック旅行で一度来ていました。
当時は、セレクトされた見るべき展示品を
効率よくガイドしてもらえた事はとても良かったのですが、
買い物時間がたったの15分でした。
それがずっと心残りで、
今回は「買物リベンジ」に来たのです。
事前に博物館の公式ネットショップで下見もし、
リストアップして用意万端、気合充分です。

でもさすがに それだけではもったいないので、
NHKの「2時間でまわる大英博物館」番組から
見逃していた展示品を2つピックアップし、
買物時間を入れて1時間を予定していました。

お爺さんは尋ねます。
「博物館での一番のお目当ては何かな?」

「買物です!!」とも言えず、
もごもごしていたら、
「良かったら一緒に特別展を見ようじゃないか。」と、
でも、あまり興味のない内容で、
後の予定も有ったので
お礼を言ってお断りしました。

少しだけ立ち話をしましたが、
日本には一度も来たことがないそうで、
「また機会があれば日本に来て下さい。」と言ったら、
「NO! 日本はあまりにも遠いよ。」ときっぱり。

ほんまに、何者なんや??

そして、しばらくしてから、
思い出したように遠い目で、
「じゃが、昔オーストラリアには行ったことがあるかな。」と、
「オーストラリア???」
ドイツ人にとっては、オーストラリアも日本も同じ感覚なんでしょうか。

「昔、オーストラリアのまわりの小さい島々に行って調査したよ。」
・・・・ほんまに、このお爺さんは何者なんや??

また凝りもせず「あなたは研究者ですか?教授?」とか尋ねても、
相変わらず笑って「NO」。
最後まで正体明かさず。
「私はただ芸術に興味を持っているだけなんじゃよ。」と言うばかり。

そして、
博物館のマップを手に取り、
私が見たいと言った「サットン・フーの兜」の部屋を一緒に探してくれました。

サットン・フーの兜


ひとときに感謝

私達はお互いドイツ人と日本人というだけで、
名前も職業も正体明かさず、
最後は一緒に写真を撮って、
気持ちよく別れたのでした。
貴重なひと時を一緒に過ごせたことに感謝して。

私は別れ際に冗談で、
「明日パリにいくから、またパリで会いましょうよ。」と言ったら、
もう勘弁してくれと言わんばかりに右手をいやいやと振り、
お爺さんはニヤッと笑って去って行きました。

不思議なご縁、これはきっと何か意味があるかもしれません。

帰国後、家に帰って真っ先にしたことがあります。
以前買った東山魁夷のポスターの絵を探し出し、玄関に飾りました。
毎日見るたびに、
ロンドンとあの優しいお爺さんを思い出します。

一期三会

まだドイツには行ったことが有りませんが、
近いうち行ける時に行っとこうと思います。
また あのお爺さんに会えるでしょうか。
その時は「一期三会」ですね。

不思議なご縁、
ドイツ人と交流させてくれた東山魁夷さんにも感謝です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?