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桜色の光

小学校一年生の時にあったこと....

小学校一年生の時にあったことです。私はその頃それ程大きな方ではありませんでした。学校に行くといつも廊下の向こうから駆けてきて、私をしっかり抱きしめる女の子がいました。
その子は「ゆきちゃん」という特別学級の子でした。ゆきちゃんは私と同じ歳だけど、ずっと大きくて力が強くて、抱きしめられた私はいつもそのままでいました。

遠足の時も一番後ろで私はゆきちゃんとしっかり手を繋いで、歩きました。ゆきちゃんはいつもニコニコして楽しそうで、おしゃべりはあまり得意ではなかったけど、満足そうでした。

私も他のお友達とも遊んだり、おしゃべりしたかった気持ちはありました。
でもそれを上手に伝えることはできません。なので、そんな日々が続きました。
母は心配していました。私もまだ一年生で、ゆきちゃんのお世話ができるなんてとても思えないし、荷が重過ぎます。でも先生達は私にゆきちゃんを任せていました。私は父の転勤で転校しました。

高校生の時地下鉄で....

高校生の時地下鉄に乗っていた私は一番端に座り、明日の試験のことを考えて、目を閉じていました。次の駅で隣の人が降りたようでしたが、次の瞬間何か大きな足音のようなのがしたかと思うと、私の左側がズシーンと重くなったのです。驚いてそっちを見ると、大きな女の子がニコニコ楽しそうに笑いながら、私に寄っかかっています。向かいの長い座席にはずらーっとその子と同じ特別学校の友達が笑いながら見ていました。

私はすぐにゆきちゃんのことを思い出し、「この子は隣が空くのを待ってたんだな」とわかりました。やっぱり私は身動きできませんでしたが、降りる駅まで敢えてそのままでいることにしました。試験のことはもう忘れていました。

帰宅して、そのことを母に話すと、「その子達には、きっと光が見えるのよ。この人は安心できる人だって。そうね、まるでみんなが大好きな桜のような光かな。他の人には見えなくても、敏感なのよ。」そうか、そうかもしれない。

喫茶店での出来事....

喫茶店に入った時にも、カウンター席に座った私が友達とおしゃべりしてたら、急に後ろから右肩をぐいっと引っ張られ、中学生くらいの女の子が私に自分の指を差し出していました。見ると中指の爪の辺りから血が出てました。どうやらそれを手当てして欲しいようです。でも、その子には中年の保護者が2人いて、無理やり連れて行ってしまいました。その子にも桜色の光が見えたのかもしれません。

いつも私は驚かされますが、きっと良いことには違いないと思うのです。どこかがまたは何かが不自由だと、敏感だったり、研ぎ澄まされたりするものです。ゆきちゃん達もそうかもしれないと思うのです。それから後も似たようなことはあります。桜色の光は自分では全く分からないので、何も努力もできません。でもいつまでも見えてて欲しいなと思っています。







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