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通りすがりの友達

「友達」と一言で言っても....

地元の大学に進んだ私は、幸運なことに高校の友達も多く一緒に進学しました。
ただ、同じ学科には高校の友達はいなくて、いつも一緒に行動するのは新しい友達でした。高校の友達も「友達の友達は皆友達」(懐かしい)式で、輪が広がっていきました。
となると、時には高校の友達と新しい友達が混ざることがあります。女子同士は男子には考えられない順応性があって、まるで前からの友達のようにおしゃべりします。

そんなある時、私と高校の友達1人と、新しい友3人で映画の話になり、その当時大ヒットしていた恋愛映画の感想をみんなで話していました。
「あの場面、やっぱり良かったよねー。私涙が止まらなかった。」
「うん、ほんと。感動したぁ...」
「私も泣けて泣けて。めちゃくちゃかっこいいよね」
「やっこちゃんも泣いたやろ?」
「私ね、みんなが感動して泣くって言ってたから、楽しみにして観てたんだけど、どこで泣いていいか分からないうちに、映画が終わっちゃった。あはは」
「えー」

高校の友達のいずみと大学からバスで天神に着き、喫茶店に寄った時、
「やっこちゃん。あんな風に本音を言ったら、やっこちゃんが損するよ。大学の友達なんて通りすがりの人と同じなんだから。私達みたいにずっと前からやっこちゃんのことを知ってる高校の友達は、逆にやっこちゃんらしくて面白いねーって言って楽しくて笑うくらいだけど、あの人達はそうじゃないんだから。本音なんて言う必要ないから。」
「あっそうか。そう言えば、あの時笑ってたのいずみだけだったような。」
「ね、そうでしょ。」「うん、わかった。ありがとう。そうするね。」

what’s your name?

私がいずみのことを「いずみ」といつも呼んでるので、大学の友人が私に
「いずみちゃんの名字はなんていうと?」と尋ねました。
私は「泉よ」と。「だから名字はなんて?」「だから泉ってば。ねえ、いずみ?」
「そう、名字も泉」「そんなバカな。」「ほんとよ。泉いずみ。本人が言うんだたら、間違いないし。ねー」
「うん、私の名前そんなに変かいな」「........」

「たちこ」という高校の友達と一緒にいた時に、別の友人が
「たちこちゃんの名字はなんていうの?」「立花よ。」
「えーじゃあ、立花たちこ?うそやろ?」
「そんな、名前を嘘言うわけないし。ほんとよ。ねーたちこ?」
「うん。そう。私立花たちこ。そんな驚くほど私の名前って変?ショック!」「........」
こんな会話もその場で何気なくできてしまうのは、やっぱり10代から同じ時間を長く共有してきた友達だから。
果たして。この2人のほんとの名前は?

成績が良くなると....

私は多分多くの大学生とは逆行しているのではと思います。というのも今までの学校生活の中で、最も自ら進んで勉強したのは大学だったからです。なぜかと言えば、専攻したのがフランス語であったことが1番の理由です。
大学で1から、いいえ〇から始める勉強なので、落ちこぼれたら4年間が真っ暗になる。と危惧した私は、オリエンテーションで紹介された入門書を帰りに買い、すぐに勉強した甲斐あってすんなりフランス語に入ることができました。
そうすると、勉強が楽しくなり高校までの私とは別人のように、分厚い辞書を引くのが楽しくて。すると成績も自然と伸びていきました。
でも、成績が伸びるのと反比例して友人は離れて行きました。
「私たちとやっこちゃんのどこが違うと?」正直私にそう言われてもー。
やはり、いずみの言った「通りすがりの人達」だったのです。





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