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3種の神器

自転車通学

私は高校時代自転車通学でした。夏は風を切ってとても爽快でしたが、冬は辛いものでした。特に私の母校は早朝7:20から夕方遅くまで授業があるため、暖かい太陽の恩恵を得ることがなかったので、寒さはこたえました。

雨ガッパ


自転車用の雨ガッパは雨を入れないように袖口にはゴム、スカートが濡れないように大きなマチがありファスナーでしっかり閉じることができ、首もギリギリまでハイネックになる程ファスナーをアゴまで上げることができ、工夫が凝らしてあります。カラーもクリーム色なので、学校の定番のコートとほぼ同じ色でした。
「雨を通さない=風を入れない」わけで、私は冬には晴れていてもいつもこのカッパを着て通学していました。
一緒に通う友達もいつの間にか同じようにカッパを。

耳がちぎれそう

体はかっぱのお陰で万全。でもまるで「耳なし芳一」ではないけれど、「耳」はまだ、冷気にさらされて真っ赤になって、ちぎれそうな痛みがありました。
ここで登場するのが「フワフワの耳あて」です。ちゃんと聞こえやすいように穴も空いてるので、友達との会話も今まで通り。(友達もすぐに同じのを買って)

手袋では役不足

もちろん手袋は必需品。しかし、これには弱点がありました。
「雨の日」です。
そこで母が紫・ピンク・白の3色が大きくキルティングされたとっても可愛いハンドルのカバーを買ってくれて、これで雨の日も万全❗️

3種の神器、出揃う❗️

カッパ、耳当て、フワフワのハンドルカバー。これが私の冬の「3種の神器」となりました。
実は私は高1の夏休みから入った転入生でした。だからでしょうか、この冬のいで立ちのために先生からよく呼び出されました。
「君はなぜカッパを着て通学してるのか?」
「あの方が自転車が漕ぎやすいからです。」また別の先生からも、また他の先生からも….
段々私も面倒になり、「雨が降りそうだったからです!」と晴天の日でも言うようになりました。そのうちに先生方も諦めたようでした。

もう1つの神器

私には卒業するまで季節に関係なく学校に持っていったものがありました。
それは、大きな学生カバン。もちろん学校の指定のものです。
ただ、これにも私なりのこだわりがありました。

知らなかった!

小さい頃から本を大事にするように母から言われて育ち、教科書は特に大事にするように言われていました。なので、カバンに詰める時どうしたら本が傷まないかを考えることは私にとっては当たり前のこと。自転車の後ろの荷台にゴムでくくる時に本に負担がかからないように。
私の母校は授業数が多いので、当然教科書も多く、もちろん学校の机に置いて帰るなんてもってのほか!校則違反です。毎日毎日英語の辞書や日本史の年表などとともに、教科書とお弁当をいっぱいに詰め込んだカバンが、私のお尻の後ろに乗って通学していました。

ある時、友達が「もう、我慢できない。やっちゃんのカバン、詰め直させて!」
「えっなんで?」と思ったと同時に彼女は、すでに私のカバンから全部取り出していて
「もっとかっこの良い入れ方を教えてあげる」そう言いながら何やら悪戦苦闘していました。
「だめだ。もうカバンに癖がついてて、どうやっても思うようにならない」
そばで見ていた男子が大笑い!
「別にこのままで良いから。これが一番教科書が痛まないのよ」
「やっちゃん、知ってる?」「何を?」
「やっちゃんのカバン、全校1大きいって。みんな知ってるよ」
えー!全校1なの?」
(知らなかった。そんなカバンのことなんて、人と比べたことなんかなかったし。)どうやら全校1ブサイクということらしく、友達が見兼ねて詰め替えてみた、ということでした。

卒業アルバム

個人写真の下に各自一言メッセージを寄せます。
「私の高校生活はクリーム色のカッパと大きく膨れたカバンに明け暮れた」
確かこんなふうに書きました。私にとっては晴れでも雨ガッパを着て、大きくて重たいカバンと過ごした日々を、きっととても懐かしいと振り返るに違いないとわかっていたように思います。
朝日が少しづつ明るくなるのを感じながら、そして夕陽が沈みなんとなく焦りながら帰ったあの日。
たまに連絡し合うその頃の友達から
「そう言えば、小山さんいつもカッパ着てたね」と。30年も前のことなのに、やっぱり珍しかったのか…





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