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文化人物録8(鈴木おさむ)

鈴木おさむ(放送作家、2014年)
→近年は森三中・大島美幸とのおしどり夫婦ぶりが注目されるが、そもそもテレビ文化を支えてきた放送作家として、もっと世に知られるべき人だろう。特にSMAP関係の番組には相当関わっており、今年は文藝春秋にSMAPがモデルとされる小説を寄稿。いまジャニーズは創業以来最大の危機を迎えているが、今後鈴木さんは何を語るのだろうか。

小説「名刺ゲーム」
・きっかけは部長から名刺を取ったら返せないという企画だった。これが物語、つまりサラリーマンの厳しさを表現する物語になると感じた。これをテレビに寄せて僕が書くとリアルになる。
・テレビにしても、40代というのは出世と会社に飲まれている世代。僕はその世代にあって客観的に見ることができた。会社は大きくなりすぎると犠牲を伴うが、会社側と被害者とされる側、両方見ないといけない。首を切られる弱者側にも甘えすぎている場合があり、ハードなビジネス書のつもりで書いた。
・僕は舞台ではミステリーなども書いていたが、小説では初めて。親が正義だと思っていても、子どもにとっては必ずしも正義ではない。そんな世界を描こうと考えた。
・テレビの業界は自分がやりたいことはどんどん口にしないと仕事を取られる。昔僕がやった女優との特番ラジオをレギュラー化しようという話になったが、その際に僕には話がなかった。番組のチーフになったのは僕の先輩だった。それ以来、やりたいことは自分で口にするようになった。テレビ業界のシビアさや厳しさを書いたけど、これはテレビに限らず、どこの世界にもあり得ることだと思う。
・テレビのことを書いたのは初めてだったが、最初は嫌だった。でもどうせなら割り切って書こうと。業界に入って20年以上たって、気持ちの整理がついてきたところはある。
・妻の大島美幸は僕が作るハッピーでない作品は、おそらく見たくないと思う。以前「美幸」という本も書いたが、これからはハッピーなことを書いてほしいと言っていた。でも、人間の嫌な部分を経たからこそ、自分たち夫妻のこともまた書いてもいいのかなという感じがしている。人間誰でも開いてはいけないカギ、つまり秘密を持っている。そこが人間っぽい部分でもあるのだと思う。もちろん、今後は夫婦の愛情などを自分なりの物語で作りたいと思っている。夫婦生活も結婚したからには、楽しくしたい。そのための努力が必要だと思う。

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