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警視庁生活安全部座談会(家庭と防犯、2012年秋)

警視庁生活安全部&担当記者座談会(身近な犯罪の傾向と地域社会の役割、少年非行の現況と家庭・地域社会の役割、警視庁生活安全部&東京防犯協会連合会)

(岩崎貴行)私は警視庁生活安全部担当を2011年10月からやりちょうど1年ほど経ったが、その中で印象が強かった出来事を話したい。

先ほど生活安全総務課長の話の中で万引きの件数としては2010年ごろよりも減少傾向にあるという話があったが、少年に限ると大手レンタル店などで盗品の売買が相次ぐなど、最近もかなり衝撃的な事件が多かった。

当たり前のように新品を大量に盗んで売っていた少年の犯罪意識の低さももちろんあるが、それよりも社会全体としての構造的な問題として、今まで何が見過ごされてきたのかが重要だと感じる。

店側にとっては、18歳未満であれば親の同意が必要だということをきちんとチェックできないまま、放置されてきたということになる。防犯モデル店舗制度などを設けて対策は講じているとのことだったが、少年に盗品売買が広がっているのは非常に問題がある。

警視庁としては対策を取って行政処分なども出してはいるものの、例えば今年夏ごろには少年側が防犯センサーを遮断するバッグをわざわざ作り、防犯カメラの死角に入って盗品を売買していた事案もあった。万引きが犯罪だ、盗品を売るのが犯罪だという意識がまだ浸透していないことを感じた。

先ほど規範意識の醸成という話があったが、小学校など小さいころからそういう意識を植え付けていかないと、一つくらい盗んだくらいでは大した犯罪ではないというような意識がずっと続き、今後もこうした犯罪が起こりかねないという危機感がある。

報道側としても事件が発生し検挙した、というだけでなく、今後事件が起きないためにどういう社会をつくるべきか、店側にはどのような対策を講じる必要があるかをきちんと報じるべきだと強く感じている。

今後の防犯対策上の課題としては体感治安の改善があるが、私の実感としては自分が空き巣に遭う、サイバー犯罪に巻き込まれる、などと思っている人は実際それほど多くない。そういう危機意識は高いとは言えないので、防犯協会としては警察と市民の隙間を埋めるような活動が期待される。

過度にあおる必要はないが、身近なところで犯罪はいつでも起こりうるという意識付けをすることが重要だと考える。

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