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プロットと共に「物語の世界観」を考える。

最近は具体的に長編を書き始めることを視野にプロットを練りながら、最近買いまくったホラー方面の小説本を読むという作業をしています。

どっぷりとホラー要素を脳にどぶ漬けしながら考えた方が、らしい仕上がりのプロットになるかなと。といっても読んだものが乱歩先生の「パノラマ島綺譚」「石榴」なので、どっちかというと幻想系のノリですが。夢野久作先生もですが、やっぱり幻想怪奇系ちょいお耽美グロ、好きやなと。

それとたまたま再放送の時代劇を見る時間があって、それは「必殺仕事人」と「御家人斬九郎」だったわけですけど、あっ、あああ~!そう、こういうの、好きなやつだよ~!やっぱ今見ても好きじゃん~!!ってなったのでした。暗殺とか闇討ちとか襲撃っていいよね!(瞳を輝かせつつ)

35年くらいぶりに真剣に見たけど、当時チャンネル権が主に祖父祖母にあったから仕方なく…でなく、ちゃんと好きで見てたんやな、時代劇。もしくは、洗脳的に見始めたのがきっかけではあっても「私なりの好き」を見出だしていたというか。

というわけで、今回は私なりの「物語における世界観」の作り方と、「自分の好きなものをいかに物語の中に違和感なくぶちこんで行くか」、どうやって「やりたいようにやるか」のお話です。


プロットを考えると、自然と「世界観」も考えることになる。


プロットを考える時、キャラクターの詳細や関係性なども考えるわけですが、「そのキャラがどういう世界で暮らしているか」も自然と考えることになります。

今私たちが生きている令和という現代の地球の日本という舞台。全然地球とは関係がない異世界ファンタジーな舞台。などなど、例え「少女Aが少年Bと出会って恋をする話でラストに結婚してハッピーエンド」というプロットが決まっていたとしても、現代の地球の日本での話と異世界での話では、出会いのきっかけもデートの中身も障害となる存在も結婚の準備内容も違ってくるでしょうし、「同じ話」にはなりませんよね。

場所や環境によって話が変わってくる、ということになると、「この展開をやるなら、令和の日本じゃなくてもっと戦乱の世みたいな混沌とした時代の方がいいな」などと、世界観について深く考え始めることになります。

逆に「私はナーロッパ異世界での男女恋愛をやるんだよ!!」と世界観先行での強いこだわりがある場合、↑とはさかさまに考えて「ナーロッパ的に説得力があると思われるボーイミーツガール」のプロットを作り出すことになります。フワッとしたイメージのままの雰囲気ものとして書くよりも、少し厳密性を上げた方が効果的なこともあります。

なので、「キャラ設定」や「プロット構築」と同時に、「世界観の構築」もやることになるわけです。この作業のひと手間が「物語のリアル感」とか「キャラがちゃんとその世界に生きて生活している感じ」みたいなものを強化してくれるのだと信じてコソコソとやっている感じです。


今私が具体的に考えている世界観。


そろそろ本格的に書こうぜ!と考え始めた時、まず思い付いたことは「これまで考えた作品の長編化しようぜ!」でした。

それで、先日書いた短編「絶望薔薇好き令嬢は凍らせ公爵令息に有り余る希望を贈られて溺愛されています」の長編化をまず目論んだわけです。

それで短編でのプロットや書いた本文自体やこれを推敲するなら…と考えておいたことなどを改めて読み返したわけですけども。

短編を読んで下さった方には、新たに考えることの中に「曖昧にしている世界観の再構築」を含んでいること、お分かり頂けたでしょう。

・具体的な国名や王太子殿下の名前がない。
・ヒロイン嫁ぎ先の公爵家に関する詰めが甘い。
・隣国の名前、自国との関係性も描かれてない。
・過去に戦争があったらしいが歴史の詳細不明。
・近衛や軍などの構成がフワッとして不明。

主にこの辺りですね。「得意なのは長編だけど今はリハビリ2作目だし短編でいい」と、とにかく書き上げること第一に考えた結果、文字数を食う世界観関連をごっそりと抜いたためです。

一国の国名と王家(+公爵家)の系図、国の成り立ちと過去の戦争を含む歴史、国家の警察・軍事組織など各機関の構成。隣国の詳細とその関係性。魔法というものの国としての扱い状況。

考えてはいたけど短編ならと文字数を考えて意識的にセーブして描かなかった部分半分、短編であるならあえてこれ以上詰める意義がないと判断してはなから思考放棄した怠慢が半分。特に後半、考えていないという怠慢のツケが、改めて長編にするにあたって回ってきたわけですね。

恋の話だから、国の話は関係ないっちゃ、関係ない。ただ、王家の姫が嫁ぐような公爵家にヒロインは嫁ぐわけだし、ヒーローは魔力暴走を起こしたほどの魔力過多で王家で近衛やっていて、この話の根幹となる隣国への密輸事件の捜査に手を出せる立場にいるし、この件については王太子殿下も関わっている。となると、最低限、これくらいは考えておかないといけないよね?ってことはあるわけですね。

まともに書くとこれら説明するだけで普通に5000字越えてくる。この短編は全部で2万字程度なのですが、説明全部書くとバランスおかしくなるので最低限で切った結果、あの本文となりました。

さて、長編化することになったので遠慮なく説明部分を詳細に考えて突っ込むことにするわけですが。初め考えていた物語のプロットはこれです。

①薔薇を育てている家門の令嬢ヒロインが元婚約者に裏切られた上に薔薇苗+αの密輸事件に巻き込まれてしまい、その事件の解決に尽力した公爵家令息と恋愛して嫁ぐ話。魔法バトルやりたい。

しかし、いつの間にか、考えているうちにあと2つほど、新たな物語のプロットが産み出されてしまったわけです。全く同じ世界観・世界線で。

②面白いもの好きの王太子殿下が、幼馴染みの公爵家令息や近衛のみんなや暗部の部下を巻き込みながら事件に首を突っ込みまくる、事件解決捜査もの。ほぼ警察小説の中身を殿下+近衛騎士団+暗部でやる形。

これはほぼ警察小説+ちょいミステリー+魔法要素含む事件解決ものをなろうファンタジーでやる話ですね。王太子殿下と公爵令息のバディものに近い形の。あと、暗部のお仕事ものも含む形の。国王が表立って動けない事件の解決を王太子殿下が担っている展開です。

王太子殿下はキャラとして立ちすぎてて、名無しの脇キャラ程度で終わる人ではなかったわけですね…。出した時点で「飄々としていいキャラしてんなコイツ」と思ってたし予感はあったけども(だからキャラとしてイキイキさせないために意識的に名もつけず「王太子殿下」という役職名のみしか与えなかった)。

そこに私の「探偵ものとか事件捜査ものとか暗部の暗躍とか魔法バトルとかバディものとかやってみたいな~」という欲望が悪魔合体した結果、単に王家と国家組織の詳細を考える程度に収まらずに新しい話のプロットが出来上がってしまったわけです。

つまりこの一環で王太子殿下と公爵令息はあらゆる事件の捜査をしており、それらの解決事件の中のひとつが①の「バディの片割れである公爵令息の恋にまつわる話」という、ある意味入れ子的な状況になってしまったわけです。

で、王太子殿下が近衛を指揮して暗部をも動かしているわけですが。この暗部の成り立ちを考えた時に、短編本文の「公爵家の先先代が過去の戦争で活躍した」という内容が融合して、ちょうどこの頃、約50年ほど前に何か大きな物語作れそうだなと。戦争があるようなタイミングで暗部の偵察の動きが活発になるのは当然でしょうし。というわけで、暗部の人の物語、という方向性が出てきます。あと、最近少し女性の生き方的なことを考えたりした結果、そういう話どうかなと。

③クラスメイトと異世界転移した結果、ある暗部の男に関わることになった普通のいたいけな日本人少女→帰れないので現状打破と愛ゆえに暗部のノリに染まりつつも生き抜く話。溺愛は二の次。女仕事人的な。なろう系女性向け文脈でホラーやサスペンス展開の話。展開によっては人を殺傷するので、倒叙ミステリーや偽装トリックの方向にもいけるかもしれない。

現代人の日本人の少女が異世界で意思をもって暗殺者ルートに乗る話ですね。世界観を強制的に変えられたり国や組織が滅ぶ展開が好きなんだ、私は。あと、必殺仕事人みたいなのやりたいとか。

で、このヒロインが50年後に60代になってて、①や②の話で暗部の先輩とか識者として出てくる~みたいな展開いいなぁと。あと、流れで王の若い頃とか公爵家のご先祖あたりも出せるのではと。

③での溺愛恋愛展開は、残念ながらメインには来ないかな。ヒロインにとっての救いという点では少しあっても、「このクソみたいな状況で何とか少女が生き抜く話」のがメインなので。書きたいのはそっちで、そういう意味でなろう恋愛ものの猫の皮はかぶってても中身はエグい系だなと。


そんなわけで、結局、世界観が壮大になりすぎたんですが。


長編化のために国の歴史や組織を考えた結果、新たな物語が生まれてしまった…困った。しかもプロットだけで見てみても、わりと長そうな話ばかりじゃないか、どれも。400字詰×350枚程度で一区切りする内容に抑えたいんだが。どうせそれでもグズグズ連載してたらあれもやりたいこれも!となって400枚越えるだろうが。

というわけで、段々と収拾がつかなくなってきましたね。よくあることです。これに有無を言わさず収拾をつける方法。それは②の物語のプロットの中にヒントがあります。

王太子殿下と公爵令息は①の事件が起こる前までに他にも「いくつかの」事件を解決しているわけですね。つまり、350枚程度で収まる内容の事件を②として構築すればいいんや!(ピコーン!ひらめいたぞ!)

そしてそれは「今より少し幼い王太子殿下が事件捜査に首を突っ込んだり、公爵令息とバディを組むようになったり、近衛や暗部を解決のために指揮するきっかけになった『連載の1話目の話』っぽい比較的軽めの事件」が望ましいわけですね。

というわけで、これから私が書く話はこれらの世界観の中の、②の話で確定です。

設定を練るにもやりやすい順番というのがあるわけですが、②でまず基本的な設定構造を作っておいて、①少し近い未来(②から数年後)と③遠い過去(50年後)に広げる方がいいかなと。

必要なのは「魔力暴走していたし友達いなかったような公爵令息がどう王太子殿下と出会って、2人の間にどういうバディ的な感覚が生じたか」の情報と、②当時の近衛や暗部と①の事件の頃の近衛や暗部の変化の具合ですかね。引き継ぎ前と後での変化。これは50年前にあたる③という過去の暗部からの一連の流れの話になりますね。あとは②で実際に起こった事件の具体的な内容と、さもミステリーや警察小説っぽいジャンル部分の構築。

あと、せっかくなので少年探偵団的な方向もやりたい。私は「成人しててかっこいい仕事できる人として振る舞っているハイスペ男」のまだ隙が多いショタ時代をあえてネチネチ妄想するのが好きなんだよ。「今やこんなハイスペイケメン面をして薔薇出してきて女を口説いているが、12歳の頃の彼は友達いない系ショタぷに涙目半ズボンのコレである」みたいなのが好きなんだよ。

というわけで、公爵令息は尊い犠牲となることが確定した…王太子殿下は当時から多かれ少なかれ飄々キャラであるので、ブンブンに振り回されて泣いて欲しい。「絶望薔薇好き令嬢~」のヒロインは王太子からショタぷに公爵令息の過去ネタをバラされて萌えで悶絶するといいし、知られた公爵令息も羞恥で悶絶して凍りつくといい…。

そういうわけなので、まずは②。そして②の話が一段落終わってから①や③の話の作業ですね。何もかも書きながら世界観の必要性と詳細を考えるというパターンです。

長編ではそれができる…。

プロットは毎度結構がっちり作るんですが、そこからルートを外れることは基本ないのですが、エピソード追加や説明文追加は都度できるので、そこでもろもろ調整する感じです。なので、「がっちりプロットは作るけど、それで書くにあたっての自由度がなくなるわけではない」ですね。

しかし「絶望薔薇好き令嬢は凍らせ公爵令息に有り余る希望を贈られて溺愛されています」については、短編として当時は書いたわけですが、長編で書く目線で見ると、これ自体がプロットそのものですね。ただの詳しめのプロットでした。

やっぱり短編、全然向いてないや…!


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