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一呼吸を置いて、何を考えるか【 経営寸話 】

 地元企業向けに発行されている情報誌にて、経営寸話というコラムを担当しました。年に一度、執筆しています。
 今回のテーマは、経営のおける「コミュニケーション」について。

 タイトルは、

 です。

 こんなタイトルですが、書きたかったことを端的に言うと、

「一呼吸置くこと、できていますか?」

 ということです(全然違うじゃないか…笑)。

 考え方や意見が合わないとき、一呼吸置いて考えてみる。実際、難しいですよね。

 感情的なことをコントロールするには、理性的な視点を身に付けておくことが近道かもしれません。そんな思いで、一呼吸置くとき「こんなことを考えたらどうでしょう」という論拠を紹介しました(自戒の念を込めて!)。

 今回は、概要についてnoteでも少し書いてみたいと思います。

1 最後通牒ゲーム

 まずはゲーム理論を紹介しましょう。最後通牒さいごつうちょうゲームとは、プレイヤー2人でお金を分けあうゲームです。

 例えばゲーム参加者に1,000円が渡されます。AさんがBさんにお互いの取り分を提案します。その提案をBさんが承諾すれば、両者はAさんの提案の通り、お金をゲットできます。逆にBさんが提案を拒否すれば、両者はお金を得る事ができず没収になります。

提案者Aさんが「Bさんへ300円渡す」と提案した場合の図

 さて、あなたがAさんならいくら提示しますか?
 Bさんならいくらであれば承諾しますか? 

 ロボットによる経済合理的な模範解答は、Aさんが999円・Bさんが1円になるそうです。え?という解答ですが、根拠はこうです。Bさんは拒否すれば0円のため、0円以外なら拒否しない選択が合理的。拒否されない前提でAさんが最大の利益を追及すれば999円になるためです。

 しかし、実際拒否せず分け合う解答は400~500円台が多いそう。機械的な解答ではなく、現実は「0円より1円に金銭的価値があっても、その提案に承諾できない価値観がある」ということでしょう。

 このゲームは、上記ベースに様々な前提やルールを追加することで、行動の変化を分析します。例えば対面で行うか、顔や氏名を隠して行うか、第三者が立ち会うか。人でなくても、会場に「目のシール」を貼るだけでも結果は変わるそうです(そんな犯罪防止のステッカーありますね!)。

 下記リンクの本によると、1円の提案を拒否する理由の1つは、人間の脳が特に「不公平を見抜くこと」について活性化するためだそうです。公平を求めるよりも、本能的に生存するために不公平な状況を嫌う(危機を感じる)ということだそうで。

(上記は次の文献を参考にしています) 


■ 一呼吸置いて……

 こちらが正しい、合理的だと思っていても、承諾されないケース。その時は、一呼吸置いて「不公平と思われる個所」を想像することが突破口かもしれません。

 「総合的にみて妥当でしょ」と思えることも、相手にとっては、不公平感のある1点をクローズアップしていたり、そこは譲れないという思いがあるかもしれない。

 ではその不公平な状況を解決するか、不公平でないことを説明するか。そのような理性的なアプローチは、結果的に相手の視点に立つという共感に繋がっていくと思います。



2 エンパシー

 続いては、昨今流行している言葉より。

 ここ数年、エンパシー(共感)という言葉をよく目にしますね。似た言葉であるシンパシーは他人と感情を共有するという意味での共感であるのに対し、エンパシーは「相手の立場になって考える」という知的作業としての共感を指すそうです。

(上記は次の文献を参考にしています) 

(参考文献を基に、私がまとめたもの)

お客様用に作成した資料より


■ 一呼吸置いて……

 相手の立場になって考え、相手の意見を尊重するというより「理解」する。そのうえで、自分の考えを伝える。

 この作業は「思いやり」とはまた別かなぁと思います。理解することは同情や同意するためのステップではなく、共通点も相違点もひっくるめて相手を知ろうとするもの。

 自分を100%理解するのも難しいのに相手を100%理解しようなんてのは無理です。1つでも2つでも今より想像できたものがあれば、より相手を「人」として見ることができる。前より、目が合いそうですね。



3 終わりに

 子育てをしていると「一呼吸置くこと」の重要性を日々痛感します。
 うちには元気いっぱいな3姉妹がいます。になってイタズラを始めると、温厚と言われてきた私の顔が気付けば赤鬼です。

 (あ、節分の準備は今年も始めていますよ…フフフ)

去年の節分より。この後、私は「白鬼」になりましたね。

我が家の節分 -那田蜘蛛山編-|岩下 尚義|note

 赤鬼になってしまえば、最後通牒ゲームもエンパシーも「知ったことか!!」です。理性よ、俺の感情を抑えるな!と。

 それでも、やっぱり一呼吸置くと赤鬼顔が落ち着き、人間に戻ります。理屈どうこうよりもとりあえず落ち着くってのは、大切ですね。

 コラーー!な場面には、とりあえずの「一呼吸」
 
ムムム?な場面には、納得するための「一呼吸」

 私も税柱を目指して、おじさんの呼吸を鍛え上げていきたいと思います。
 おじさんの呼吸 壱の型、カクテェェイシンコクゥー!!
 (無理やりの鬼滅エンド)



(参考)昨年のコラムもnoteで振り返りました。

#推薦図書 #ビジネス #経営  
#ゲーム理論 #エンパシー

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