トラウマ館(鬼太郎と手塚治虫は敵編)

幼少期のトラウマというのは、いくつになっても覚えているものである。

今私は、顔に吹き出物が無数に出来て
リアルフジツボ人間と化してしまい
ついに皮膚科にきたところである。

待ち時間に幼少期のトラウマになった作品たちについて語っていくことにしようかしら。

物心がついてきた5歳か6歳くらいの頃…

私はそれまで大好きだったアニメ
ゲゲゲの鬼太郎(第二期)を
何よりも…何よりも恐怖していた…。

きっかけはよく覚えている。

鬼太郎の「縁切り虫」というエピソードであった。

縁切り虫という虫に噛まれると、
たちまちみな人相が変わり
それまで仲のよかった相手と喧嘩をしだしてしまう。

それを利用して、ねずみ男は金儲けをしようと怪しい商売をはじめるのだが…という話(だったと思う)

これが…マジでめちゃくちゃこわい!!!
なんとあの鬼太郎までもその虫に噛まれると
めちゃくちゃ無気力なダメ人間に変わり果ててしまったのだ!!

あんなに…かっこよくて優しく無敵な…ハイパーチートをきめこむ神、鬼太郎が………

「なにもしたくない~~。あ~?うるさいなぁ~~」

鬼太郎が……!!!!!もう…何を信じたらいいんやこの世界!!!!

極めつけは怯えと絶望にうちひしがれる私に兄

「あっ!トモのお尻に縁切り虫おるぞ!」

発狂である。

それから私は鬼太郎が大嫌いになると同時に
「いい人が別人になる」というものにものすごい恐怖を感じるようになったのだ。

別日その日も私は
親の書斎に忍び込み、
しょうこりもなく漫画を漁っていた。

クソでかい新装版のブラックジャックを手に取り
意味もわからずパラパラとやっていると
恐ろしい顔がバーン!!!と
まだいたいけなクソガキの目の前に登場した!

みんなのトラウマ
ブラックジャック「人面瘡」

自分の意志に関係なく、突如現れる醜い顔と人格「人面瘡」にとりつかれた男…
ブラックジャックに治してくれと依頼してくる。
ブラックジャックは、それを治療するが…という名作中の名作である。が…

なんといっても、
めちゃくちゃに怖いのだこの顔の絵が…
それがまた口汚く喋りだす!恐ろしい言葉を!!!

今まで優しげな青年だったはず……
それがまさしく人が変わったがごとく!!

小骨、二回目の発狂である。

巨匠はガキにも容赦しないのである。

そこで私は誓ったものだ
「鬼太郎とテヅカは一生!!見ない!!!!」

この固い誓いは、数年後小骨トモというイカレ野郎を産み出す起爆剤になるのだが
それはまた次回の記事ということにしましょう。

思えば私はこの二作によってそれからの「怖いもの」が決まってしまったのだ。

親につれていってもらった居酒屋に
貼ってあった神楽の怖すぎる鬼のポスター
裸足で道路へ逃げ出す。

テレビで見た金曜ロードショウのエクソシストのCM
泣きながら家にいたくないと訴えた夜
(なお、見かねた親につれていってもらった公民館的な所には神楽のポスターが貼ってあり、結局発狂)


その頃の金ローと日曜映画劇場も容赦をしなかったので、震える舌やエイリアンのテレビCMなどで
そのつど私を発狂させまくった。

さっきまでトトロとかやって
ごきげんニコニコとしていた矢先に
「来週の金曜ロードショウは…!!ギャーーー(少女の首が180度回る)」

まじで勘弁してほしいのである…。

現在精神分析してみると、
この「恐怖」には母の影響が大きかったのかもしれない。

私の母は躁鬱病ウン十年のプロフェッショナル。
それは同時に「人が変わる」ことへの
プロフェッショナルでもあったのだ。

リンゴの皮を向いていたと思えば次の瞬間に
その包丁を己の腹につきたて、
ニコニコとスープを飲んでいたと思えば
スープの具を大量の薬に変え
救急車でドライブ
(詳しくは母の頭は電波塔という記事を参照!)

当時の私からすると
それはまさしく今まで優しかった人間が
一瞬で般若のようになってしまう神楽であり
縁切り虫であり、人面瘡であり、エクソシストなのであったのかもしれない。

まぁだからなのか、
私は人が急変するという状況が今でもどうも苦手だ。
DVとかまじ滅びろって感じ。

まっこれはただの辻褄を合わせですね。

実際やっぱり
水木しげると手塚治虫の漫画は
いつの時代もガキを震え上がらせてきたんではないだろうか…

本当に恐ろしいよ…漫画家おじさんたちは…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?