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【鑑賞日記】「空気の人/分光する庭」展を見に行った

空気の人/分光する庭 @座間市役所

会場が座間市役所であるという点が面白いと思い行ってみたのです。

で。実は、近年増えてきている、”アート展示のための会場ではない施設を活用した、現代アートの展覧会”なのかな、と思いつつ行ったのですが、そんな安直ではなかった。

主催が座間市地域福祉課、企画主旨も「孤独や孤立に向き合う相談者たちの個性と向き合うため」という、アートの文脈ではなく、福祉の文脈からの企画で、実にユニークな成り立ちの展覧会だったのでした。

そもそも、アートではなくデザインなんですよね。まあ現代アートではあるのですが、鑑賞者に認識の変容を体験してもらうという意図があり(それを意識していたのかはわかりませんが)は、これってデザインの文脈だなあと。
拡大解釈をすると福祉支援もまた社会のデザイン。そんなところを考えると本展示が前述の企画意図であることも納得。

展示作品を概括して感じたのは、どれも”光”という存在に向き合った作品だな、ということ。
いや、光というよりも”空間そのもの”、目には見えないけれどそこにある存在というものを可視化させていく作品だった、というべきかも。

おそらく今回、一番に目を引くであろう「空気人間」はまさにそういう作品で、ひとのかたちがそこにある。質量を持たずただ存在としてそこにいる。ということを実感させられました。

自分がよかったなと思ったのは「空気天秤」という作品。重さを図るための天秤が水中に設置されることで軽さを図るという仕組みをつくり、常識的価値観の逆転を生じさせているのです。重さと軽さという目に見えないものを可視化させていると思いました。

また、色鉛筆を2本組み合わせて水平線を描くワークショップも面白かったです。紙面を2色の色鉛筆で分割するという企みにより参加者各人の想いまで表現していくという点が、なんともいえないエモさに繋がっていました。

作品は透明素材を使っているものが多く、これも質量なき空間そのものや光そのものを捉えていくという意図に沿ったことなのでしょう。
特にプリズムなどは直接的に光を扱う素材なわけで、たぶん陽光が差し込めば、より作品が際立っただろうにと思いました。自分が観に行った日は生憎の雨模様だったのでその点は残念だったのですが、しかしそれでも、作品と窓から望む外の景色は悪くはなく、それはそれでありだったかな。

あと、撮影風景を見れない証明写真はすごい記念になった。こういう発想、好きだなあ。

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