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インドア男子が、チイキにカオ出す3秒前。

タイトルにもあります通り、インドア大学生が今のうちに書きたかったシリーズです  

・初回(『5秒前』)はこちら:生い立ち・幼少期編

・前回(『4秒前』)はこちら:高校~大学1年春編

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大学生になって数日で、

自分がいかに
「インドアな発想」の人付き合いの中でしか
生きてこなかったのかを思い知らされます。

髪を染めている学生はいるし、
色とりどりの服を着てきているし、

「今度の休み、○○に出掛けない?」という会話が飛び交っているし…。

一方、
僕は整髪料にすら抵抗を持っていましたし、

今まで私服で友人と出掛ける機会も数えるほどでしたし、

自分から「○○に行かない?」と誰かを誘うこともなかったので、

大学生活は、毎日がカルチャーショックです…。

そんな中、課外活動を使って

「少しでも人間への免疫を付けようと」思って、
インドア人間が必死に考えた結果、

美術部、国際交流サークル、講座
3つに手をだし、
複数の「顔」を持ってみました(前回参照)。

大学での所属学部は「地域学部」でしたが、

僕にとって、この鳥取県東部は
縁もゆかりもない土地でしたし、

地域に出る、地域の問題に向き合うということには、正直体と心が向きませんでした。

そもそも、

他人とうまく話せない人間が、人間の集まりである地域の問題を解決できるはずもない、

地域どうこうより、
まず自分自身に大きな問題があるから

と、悪い意味で(?)開き直っていました。

それよりも学内の、
上の3つコミュニティそれぞれの中で

いろんな人(学生)のことを知ったり、それぞれの場のノリについていくのに必死でした。

(言い方を変えれば、そこに終始していました)

「顔」を複数持った甲斐もあり、学内の知り合いの幅こそ増えましたが、

自分から他人に関わったり、自分の思っていることを伝えることとなると、
全く改善できない
ままでした。

「人と会う機会」はつくったものの、
「人への話し方」がわからない。

なにか便利そうな道具は手に入れたものの、

その使い方、活かし方がわからないような状態のまま、
1年の前半を過ごしていました…。

美術部の先輩から、何か意見を求められた時、
言葉は尻すぼみに。

1学年上の先輩からは、
「この子、大丈夫か…?(後日談)」
と心配される始末でした。

(そもそも、自分が意見を言わなくても、今まで所属していた部活は十分成立していましたから、その必要はなかったのです…)

国際交流サークルの中でも、

留学生や先輩から話を振られない限り、
自分から話すことは少なかったです。


人とナチュラルに接することができる他の部員や、海を越えて日本に来るだけあって、

ハングリー精神の強い留学生たちが身の周りにいましたが、

僕からすれば、彼らは超人に見えました…。

ただ、3つ目の「顔」、

1年生のための講座(以下:講座)はちょっと特殊で、勇気のもらえた場でした。

週に1度、受講生数名でクループワークに取り組み、

PCのノウハウや機能的リーダーシップ、
TOEIC対策力などを身につけるためのプログラムに取り組んでいました。

各グループに一人、先輩の学生スタッフ
(グループアシスタント・通称GA)がついて面倒を見てくださるのですが、

このGAさんが、
物静かな僕にも、絶妙なアシストをしてくださり、

グループ内の僕の発言量は自然と確保されていました。

ワークショップなどでいう、ファシリテーションの上手い先輩でした。

●余談:現在Facebookを多用している僕ですが、何を隠そう、
始めたきっかけはこの講座の中で登録させられたからです。

当時は一人暮らしの楽しみが、
ホットケーキ作りくらいしか無かったので、
その写真をしばしば投稿していました。

新入生サポートスタッフ…
初対面の人に自分から切り込んでいく
『初体験』 

その講座の中で、秋頃に
「新入生サポートスタッフ」の募集がありました。

講座を主催している大学生協による、
学内インターンシップ(給与有)で、

春休みに教材や新生活用品をそろえる際に、

僕も当時のサポートスタッフの先輩学生に、
色々と相談に乗っていただいた過去がありました。

かつて心理カウンセラーに興味があった(前回参照)僕は、

誰かの相談役になれる」この取り組みに興味を持ち、応募しました。

仕事内容は、ただの愚痴聞き役や、
オフィスの留守番ではありません。

基本的にスタッフ1人が
新入生家族1組と向かい合いながら、

大学や鳥取に関するイメージのギャップを埋めたり、
学科やプライベートの過ごし方の現状を伝えたり
(身近な先輩として相談に乗る役割)、

ニーズに応じて家具や教材などの提案をしたり
(営業マンのような役割)など、いろいろな役割がありましたが、

何をするにせよ、 初対面の人に自分から話しかけて、関係を作っていくことが求められました。

自分から話しかける…

ジブンカラハナシカケル…

…僕にとっては、今まで意識してやったことのなかった、
ハードな『運動』のようなものでした。

話しかける相手は、
ワクワクを心の中に秘めつつも、
未知の世界に入る不安のほうが強い新入生です。

先輩にあたる自分たちから能動的に
互いの間の壁を切り崩し、

対話を仕掛けて相手のことを知りにいかないと、

相手が今まで何をしてきた人なのか、
今何を思っているのか、
これからの大学生活で何をしたいのか、

いわばデータを取ることができません

データを取れないと、
それに対して気の利いたアドバイスもできません

相手が太平洋側の気候で育ってきたなら、
鳥取の雪や湿気のこと。

相手がスポーツが好きな人なら、
大学の運動系サークルや、鳥取のスキー場のこと。

相手が自炊に意欲的なら、
大学周辺のスーパーの位置や、それが近いアパートの情報など、

といった具合です。

大学内の4学部から、いろんな学生がスタッフとして応募し、

秋~冬にかけて一緒に研修を受けてきましたが、

僕のできなかったこと全てを、
最初から高いレベルでこなしていたのが、

やはりというか、「医学部」の学生たちでした。

人の命と向き合う道を選ぶ彼らだけあって、
所詮「カウンセラーかぶれ」の僕には届かない、
圧倒的な実力差を、日々感じていました…。

こんな研修期間だったものですから、
スタッフとしてというより、いち人間として鍛えられていきます。

僕が特に酷かった点を3つ挙げると、

●話し相手に、笑顔で接することができない

自分の笑顔は、自分で鏡で見てても気持ち悪い、

だから相手にとっても、気持ち悪いだろう…

だからいっそのこと、笑わないほうがマシ…。

「そんなんじゃ、相手の不安を煽っちゃうよ!」と、先輩スタッフに何度も、注意されました。

●話し相手との話題・データを、一度聞いても忘れてしまう

相手との会話で得たデータ
(出身地、過去にやっていた部活動など)を、

キャンパスライフに関する会話に繋げられない

そもそも繋げられると気付いてすらいない。

●相手の価値観・興味・心配事を無視して
自分の話をしてしまう

初対面の場合において、適度な自己開示は必要ですが、

何か喋らないとダメだ、気まずいと思って、


話題を相手のデータや関心事の中から引っ張ったり広げたりせずに、


自分の引き出しの中から出してしまう。

例:僕が大の猫好きなため、
ついついキャンパス内に出没する猫や、駅前の猫カフェの話をしてたが、

そもそも相手が猫が嫌いだった。
相手からしたら
需要があるかどうかもわからない」話をしてしまった。


研修も佳境に入り、他のスタッフが課題をクリアしたのを余所に、

僕は居残りでしごかれては反省し、また指摘されては改善を図り、

時にはホントに涙を流しました…(笑)。

しかし、自分自身のこれらの欠点に向き合えたのも、
新入生サポートスタッフを通して結果的にではありますが、

自分から人に話しかける「実践」の機会を作ったからです。

そして、
「データ」を取るためとはいえ、会話をしていくうちに、

相手の大まかな価値観がわかってきます

ただ自分の気分や欲望のままに話しているだけではダメで、


「相手がどんな言葉を返してきたか覚えていよう」

と心に留めながら話すことで、

相手の見た目よりも、
相手の言葉から導き出されるバックグラウンドのほうが、

強く記憶に刻まれてきます。

これを鍛えてきたことにより、

今までのように相手の第一印象だけで
「ウマが合う・合わない」を勝手に判断することも少なくなり、


話した相手が少なくとも、インドア派かアウトドア派かは、
見た目に騙されずにわかるようになってきました(笑)。

そして、春休み。

キャンパスには新入生の姿が多くみられるようになりました。

僕も現場に立って、
一人のサポートスタッフとして、

多くの新入生との「はじめまして」をしました。

…なかには、僕と似た匂いを感じる、
人と関わるのが苦手そうな新入生もいました。

その横には、

昔の自分自身に言い聞かせるかのように、
笑顔を見せて声をかけている自分の姿がありました。

大学2年生になった春。
はじめて「人との話し方」を覚えました。

…この期間に同時進行で、
僕がようやく「学外」を意識するようになった出来事もありましたが、それはまた次のお話で…

続く

読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、鳥取のアートシーンで活動されている方々を応援する際に使わせていただきます。