読書『隻眼の少女』麻耶雄嵩著

近所の某書店で紹介されていたポップが目に留まり、麻耶雄嵩さんの作品を初めて読みました。
表紙の水干姿の少女が印象的で、平安時代とか陰陽師の話かと思ったのですが、現代の探偵の話でした。

栖苅村を舞台に、亡くなった母を継いで探偵デビューをしようとする水干姿の「御陵みかげ」の謎解きの模様を、成り行きで探偵助手見習いをすることになった「種田静馬」の目線で描かれています。2人は、女性が代々不思議な力を受け継ぐという琴折家で起こる連続殺人事件を解決していくのです。

前半と後半で分かれており、前半は琴折家の殺人事件を解決する二代目みかげの話、後半は前半から18年後の琴折家の殺人事件を解決する三代目みかげの話となります。
栖苅村にある琴乃湯での種田とみかげの出会い、種田の過去、琴折家の殺人事件、と話は進んでいきます。最初のうちは、琴折家の人間関係や屋敷の配置を理解しながら、ゆっくりページを繰っていましたが、いつの間にか物語に引き込まれて一気に読んでしまいました。
最初の事件から18年後に種田は二代目みかげと出会い、事件を解決していくうちに衝撃の事実にたどり着きます。
二代目みかげの17歳にして強靭な精神力に、まんまと騙されました。想像もしなかった展開に、これまでどれだけ私は著者の手のひらで転がされていたのかと。ミステリー作家って凄い、私には絶対できない仕事だなぁと感動しました。どうすればこんなストーリーが思い付くのだろう。この終わり方だからこそ良いのかもしれませんが、もし続きのストーリーが有れば、是非読みたいと思いました。
ミステリー好きの方には、是非にとオススメしたい作品です。

ちなみに摩耶雄嵩さんは、京都大学推理小説研究会の出身でした。私の好きの小野不由美さんも同じ研究会の出身だそうで、さすが京都大学、というのか...。この小説を手に取って良かったです。

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