『X-MEN:ダーク・フェニックス』感想

 雨が止んでいたので、1000円デーにシネプレックス幕張で観てきた。
 Xメンも、映画版はずーっと見てきている。これで最後だと言う。しかもミュータントと言いつつわかりやすい超能力者のジーンが暴走する話だから、どうなるかな~と楽しみにしていたのだが……。

 うーむ。
 なんだろうね。
 原作Xメンのファンは、これで満足なのかなあ。
 私は原作はほとんど知らないから……ということもあるのかもしれないが、どうもダメダメだった。ものすごくつまらない──ってわけではないんだけど、ダーク・フェニックスをやりたいために、今までのことを無意味にしてる感じがして「はあ。そうですか」ってなっちゃう。「結局Xメンって、いっつもこんな話だよね」って気分にさせられて、げんなりするというか。
 なんだろう、例えるならサム・ライミが撮った最初のスパイダーマンが、原作に近いあの形でさらに何作何作もずーっと作り続けられていたら、たぶんこんな気分になる気がする。
 せっかく、前の二作で悲劇を塗り替えていい感じで終わっておきながらのこれは、なんだか悲しくなってくる。せっかく仕切り直したってのに。その新しい未来は、また暗いトーンに塗り替えられる。
 もちろん、それがXメンのメインテーマである「ミュータントと普通の人々の根深い問題」のせいでそうなっちゃうのはわかるんだけどさ。
 わかってても「もういいよ」ってなっちゃうんだよ。だって、なにをやったって、そこしか話の持って行きようがないんだもの。
 マグニートはまたキレて暴れるし、楽しい要素のクイック・シルバーは序盤で早々に入院しちゃうし。その上、もうウルヴァリンはいないし。それなのにスコットは結局大したこと出来ないし。誰かがキレる→事態悪化→別の誰かがキレる→敵につけいられる、みたいな流れにイライラするし。
 アベンジャーズとその一連の関連作品のように「長年続けてきて積み重ねてきたもの」を踏まえて苦しみながらも前に進むって感じが、ほとんどないの。いや、あるんだけどちゃんと活かしてないっていうか……。
 なぜなら、いつも積みあげちゃあ、ぶっ壊して、直ったフリして終わる──みたいな感じでやってる。だから毎回同じような組み立ての話しかできない……前二作は違ったはずだったのに、少なくとも、このダーク・フェニックスのせいでそう思えてきてしまう。
 せっかく前回のアポカリプスで「前に進めたんだね!」感があったのにさあ。馬鹿みたいだよ。ここまでの直前二回(ウルヴァリンが死んじゃう話はべつね)まで、同じような映画だったみたいにしちゃってるところが実に罪深いよ。
 原作ではなんか元ネタがあるのかもしれないけど、唐突に飛来した宇宙人(サイヤ人+ターミネーター+走るゾンビみたいなやつら)と戦うことになる展開とかも、大いに白ける。ここまでの作品でなんの前振りもないから、「こいつらなんなんだよ?」ってなる。あまりにも話の都合で降って湧いた災難みたいなもの(しかも、最後の最後まで敵の事情は地球側の登場人物にはよくわかってないし)だから、ジーンの身に起こった問題までが荒唐無稽に感じられてきちゃうんだよなあ……。
 というわけで、フェニックス自身は派手に燃えまくってたけど、見てるこっちは不完全燃焼な映画だったぞ。
 これが最後だなんて、ほんっと後味悪いわ~。
 毎回、なんか辛い感じなのに、「これがXメンの良さなんだろうな」って付き合ってきたのに。
 このあと、MCUに加わってこられても困るわ。
 ラストでチラッと見えてたあれだって、わかりにくいし。
 今後につながるなにかがあったことがわかるまでは、評価を上げる気にならないね。
 アポカリプスまでで終わったままのほうが、絶対に気持ちよく過ごせいたはずだよ。
 正直、私には残念な映画だった。

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