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ジャズに出会った日

なかなかジャズに出会えない18歳の僕なんですが、なんかでジャズと言ったら帝王マイルスデイビスだ。みたいなのをジャズライフかなんかで読んだんです。

いやよく考えてみたらジャズライフよ、当時フュージョンの人しか表紙にしなかったジャズライフのせいで僕はダサいCDばっかり買ってしまったんです。
当時ジャズライフってなぜかフュージョンどジャコの事しか書いてなかったですから。ジャコライフですよ。

で、音楽の専門行ってた友達がマイルス?持ってるよ、すげえよ、みたいなこと言うんですぐ聞かせてもらったんですよ。

MILES DAVIS - ON THE CORNER

On the corner 笑

まだ僕はジャズに出会いません。

いや、こわいこわいこわい何この音楽、クレイジーすぎじゃない?こわいわ、こわい。
暗い暗い暗い。

カウベルみたいなのなってるけど、カウベルだったらGuns N’ Roses のNightrainのスティーブンアドラーのほうが200倍くらいかっこいい。

ロック史上で1番、カウベルで四分音符を打った人。ガンズアンドローゼスの(ドラッグ問題で脱退する前の)スティーブンアドラー氏

それにウネウネの気持ち悪いギターとかサックスのアウトラインね。
これなに、宗教?儀式?

これがジャズの帝王か、こわ。
と思いましたよね、ほんと。

2度とマイルス聴かないと思ったんです、この時は。

ところがです。
このマイルスが僕の音楽人生を決定的に変えるわけです。

なかなか思うようなジャズに出会えないで、でも半年くらいした時ですかね。

ふっと川越のCD屋かなんかで、マイルスデイビスのマイファニーバレンタインてアルバムを、なんとなくだけど買ったんですよね。
マイルスのアルバムを買おうと決めてたと思うんですけど、何を買おうかは決めてなかったんですよね。

で、まぁーそんなお金に余裕ない時ですから、どれがいいか悩む訳です。悩みに悩んで買ったのがこれです。

MILES DAVIS - MY FUNNY VALENTINE

帰ってCDかけた瞬間、まぁ、暗いこと暗いこと。表題曲のイントロのハービーハンコックのピアノなんて激暗で、陰気臭すぎるでしょ。
しかも、バラードだし。

それもそのはず、これ、ライブのなかからバラードをピックアップしたアルバムだったんですよね。しっかりバラード集って帯にも書いてある。

いや、熟考したよね?おれ。

バラードって書いてある


なんで気づかなかったんだ、失敗した。なんだこれクソつまんねぇって思って二曲目くらいまでしか聴かないでほっぽっといたんです。一曲ごとなげぇし。

ちなみにこの時の僕は管楽器の音、サックスとトランペットの音の違いもよく分かってません。もちろんフリューゲルもコルネットもテナーもアルトもソプラノも。

このほっぽっといたアルバムをそれから何日か、何週間か経った時ですかね、ふっとかけてみたんですよ。

まぁ相変わらずつまんないんですよ。

ただ、そのまま適当に流して聴いてたときに4曲目の「All Blues」って曲がかかったんですけど、あれ、、これはバラードじゃないやん、、て思って聴いてたんですけど、ここが人生の分かれ目でした。

初演はあのKIND OF BLUEに収録されてますけど、ゆっくりでかったるいです。

ハービーハンコックのソロが始まります。
当時は知識ないからわからなかったですけど、最初の1コーラスは非常にスペースを開けて、モーダルなアプローチをしてます。2コーラス目、後半から少し歌が入ってきて、、
3コーラス目ですよ、3コーラス目。衝撃、全身鳥肌。
むちゃくそブルースなアプローチをするんです。で、ハンコックの声も入ってて。ちょっとスティービーワンダーみたいな声質のね笑。それすらもかっこいい。
ドラムのトニーもいきなり雰囲気変える。割とバラしたアプローチをしてたのに6/8のスウィングになる。

かっこいい。その一言に尽きる。

もーそれしかなくて、何回も聴きましたよね。
そしたら、マイルスのソロもよく思えてきて、ドラムのトニーの凄さが入ってきて入ってきて。
この曲に関してはいつか別で語りたいです。そうします。

ちなみに予備知識無しにも関わらずジョージコールマンのテナーをいいとは一回も思わなかったところが面白いところです。

これだよこれ、こう言うのが聴きたかったし、この演奏の中で行われてることは、自分が聴きたいって思っていたものの一億倍くらい予想を超えてすごかった。

そしたらアルバムの曲全部が良く思えてきちゃって(途中で客が叫んでるのは後々になるまで理由がわからなかったけど)一曲目から全部聴きまくりました。

あの時のマイルスクインテットはもーほんと自由自在。バラードとは言いつつも途中でしっかりスイングしたり、聴きどころしかない。

いやここがアコースティックな、というかストレートアヘッドなジャズとの本当の出会いだったし人生変わった瞬間でした。

やっとジャズに出会えた、そんな瞬間でした。

ただ、会えたのは良いが、まだまだ思うようには進まないのでした。

つづく

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