【随想】太宰治『禁酒の心』
酒の酔いには神経回路を短絡させる効果がある。実際酩酊一歩手前のほろ酔い状態では、シラフの時には思いも付かないアイデアが次々閃くことがあるし、弁舌も極めて流暢になり、議論は活発化し、幾らでもとめどなく演説することが出来る。問題はそれらが記憶に残り辛いということであるが、それもメモを取ったり、ビデオやボイスレコーダーなどで補填可能だ。酒酔い時の自分の言動など恥ずかしくて見たくないし聞きたくもないが、しかし恥辱に堪えてよくよく内容を吟味してみたならば、確かに平静時には到達出来ない