マガジンのカバー画像

【随想】太宰治

143
運営しているクリエイター

記事一覧

【随想】太宰治『東京だより』

 何かについて考える時、人はどれだけ意識的でどれだけ無意識的なのだろうか。思考は自由なも…

【随想】太宰治『雪の夜の話』

 よく冷えた日の雪は大きくて軽いので、ひらひらゆらゆらと自然落下してきます。肩に落ちても…

4

【随想】太宰治『散華』

 現代は誰も彼も自己愛を肥大させ、ひたすらに自己演出に努め、自分の肯定ばかりに躍起になり…

10

【随想】太宰治『佳日』

 幸福の平等を求めるのは傲慢なのだろう。誰かが幸福であることと自分が幸福であることは全然…

2

【随想】太宰治『作家の手帖』

 素直に、真面目に、真摯に生きて、社会に貢献している人間を心から尊敬する。他人と共生して…

【随想】太宰治『鉄面皮』

 仮面や化粧のように顔を隠したり飾ったりする文化は古今東西人間社会に普遍的であるようだ。…

6

【随想】太宰治『禁酒の心』

 酒の酔いには神経回路を短絡させる効果がある。実際酩酊一歩手前のほろ酔い状態では、シラフの時には思いも付かないアイデアが次々閃くことがあるし、弁舌も極めて流暢になり、議論は活発化し、幾らでもとめどなく演説することが出来る。問題はそれらが記憶に残り辛いということであるが、それもメモを取ったり、ビデオやボイスレコーダーなどで補填可能だ。酒酔い時の自分の言動など恥ずかしくて見たくないし聞きたくもないが、しかし恥辱に堪えてよくよく内容を吟味してみたならば、確かに平静時には到達出来ない

【随想】太宰治『小さいアルバム』

 過去の記憶、それも懐かしい古き良き記憶だけを辿るのは、とても気持ちの良いものだ。過去の…

4

【随想】太宰治『十二月八日』

 破壊は絶望だ。だがその先に新しい希望が見えるから、妙に心を昂ぶらせる魅力がある。台風の…

4

【随想】太宰治『新郎』

 この世界をこんなに愛しているのに誰にも伝わらない、伝えられない。何度も心を入れ替えた。…

4

【随想】太宰治『誰』

 自己の内部に潜む悪魔的な一面を何の前触れも無く突然意識してしまうことがある。それは高層…

5

【随想】太宰治『恥』

 人間のやることには動機がある。人間は単純だ。食いたい寝たい出したい手に入れたい壊したい…

3

【随想】太宰治『令嬢アユ』

 名前すら知ることのないほんの一時の邂逅こそが人生の最高の醍醐味であろう。観光客など来な…

2

【随想】太宰治『服装に就いて』

 引越す度に不要な衣類を処分するのだが、いざ新天地、あれも必要これも必要と買い足していつの間にやら元通り。これは不要だ、二度と買わん! 確かにそう思った、確信した、あの時の決意はなんだったのか。季節が変わる、シャツが要るな、一枚じゃ不安だから二枚、いや長雨で乾かないこともあるからな、三枚だ、三枚、これは必要だ、これは必要経費なのだ、仕方無いのだ。買う。タンスを開ける。思い出す。同じ様なシャツを同じ様な思考で買った過去を思い出す。数える程さえ着ていないシャツ、次の引越しで処分さ