サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜【Jシネマレビュー#7🎬】
第93回アカデミー賞で編集賞と音響賞を獲得した、アマゾン・スタジオズ製作の配信作品。
劇場公開が決まりましたが、アマゾン・プライム・ビデオにて鑑賞しました💻
↑あくまで個人の感想です
・内容 17
・演技演出 17
・視覚効果 15
・音楽 16
・エモーション 17
本作が伝えたかったメッセージが、はっきりと見えましたし、無駄のないしっとりとした音楽も良かったです。また、リズ・アーメッドの聴力を失いゆく人間の演じ方が自然で、素晴らしい演技であったと思います。
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"失って気づくこと"
ネタバレがあるのでご注意ください⚠️
ある日突然、聴力を失ったら…👂
皆さんは、考えたことはあるでしょうか?
もし自分が同じような状態に陥ったら、ショックで耐えられないでしょう。
本作の主役はドラマーであるルーベン。
音楽をする人間であるからこそ生じた症状とも言えますが、音楽をする人間にとって聴力を失うということは、致命的であり、それはルーベンにとって夢を諦めることにもつながってしまいます🥁
身体は自由が効かず、夢は潰え、ルーベンが大きな失望を抱く姿は見ていて辛いものです。
それは、音楽と生活を共にしてきた恋人のルーにとっても大きく、ルーベンとどう向き合うべきかという悩みに苦しみます。
"サポートする側"の難しさというのは、何かしら身体に不自由がある人と接する機会のある人には、大いに共感できるでしょうし、その人のサポートと言うのも大切ですよね…
”依存からの脱却”
ルーベンにとって聴力を失ったことは、良い意味で依存からの脱却へと繋がっていきます。
まずは、彼女の存在です👩
映画の前半では、どんな瞬間も恋人のルーと一緒にいる印象を強く受けます。
もちろん、トレーラーハウスで共に生活をしているわけですから、自然なことかもしれません。
しかし、この彼女への強依存は、日常生活を失いつつあり、音楽の夢が途絶えそうなルーベンにとって、苦しいものとなっているように見えました。
次にドラッグへの依存です💊
元々ドラッグ依存者であったルーベンにとって、聴力を失うというショッキングな事実は、再び彼をドラッグ依存へと戻してしまう恐れがありました。ろう者のコミュニティーが、ルーベンをドラッグ依存へと戻すことへの防波堤となっていたのは見て取れました。
最後にメタル音楽への依存です🎸
ルーベンにとって、メタル音楽は全てとも言える存在でした。それが、ある日を境に半ば強制的に妨げられてしまいます。
大音量でのメタルが日常だったルーベンにとって、ろう者のコミュニティーでのドラム演奏や、ルーのバラード調の歌唱は、新鮮な気持ちを抱かせたに違いありません。
”そして前を向くこと”
はじめは、ろう者のコミュニティーにもなかなか馴染めなかったルーベンですが、子供たちとの出会いなどを通して、次第に新たな自分の人生を見つけ出していきます🏃♂️
新たな環境に入り、新たな人々と出会うことで、新たな自分を見つけ始めたのです。
特に草むらで子供たちと戯れるシーンや、ドラムを一緒に演奏するシーンは、表情が豊かであり、純粋にその瞬間を楽しんでいるような印象を受けました🎶
人工内耳を手に入れ、元通りに戻ると期待していたルーベンですが、物語の終盤でそれが実現するも、聴力は戻らないことを知ります。
二度も聴力を失った感覚を味わい、落胆もあったでしょう。
しかし、物語は、彼が人工内耳を外し、少し微笑んだところで終わります🦻
新たな生き方を見つけ始めていた、そして前向きに生き始めていた彼にとって、第二の人生とも言えるこれからを生きていける希望と喜びに満ちた感情を抱いてのことであったのでしょう。
”耳は治せなくても心は治せる”
生きる希望を与えてくれる映画であったなと思います🎥
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