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断片:女を舐めるな

コメントではあるのですが、思ったことなどツラツラと…

いい気になって男性を殴っていた女性が反撃にあい、一撃で昏倒させられるという動画を観て「いや、これは女が悪いだろう」という意見が多数出たことに対して「潮目が変わった」と感じたというお話。
紹介されている動画は Twitterで目にしていまして、実は私も「まあ当然だわな。少しやりすぎの面はあるが」としか感じなかったので、これを当然と受け止める意見には違和感が無かったというのが正直なところで。女性だからといって「暴力は暴力」ですよ。「反撃を受けないだろう」と考えているとしたらそれは甘えているとしか言いようがない。

まあ、互角に男性と殴り合える女性はさすがに海外でも少数派でしょうが(苦笑)、たとえば米国などでは銃が普及しているわけですし、「殴ったら撃ち殺されるかもしれない」という意識はある種の抑止力として働くかもしれません。日本人の感覚としてはなんともサツバツとした話で、さすがはマッポーカリプスだと言わざるを得ないんですが…

ただねえ、女を殴らないという意識は結局は「女とは弱いもの/男性に劣るもの」という意識の裏返しでしかないと考えるのですよ。そりゃまあフィジカルな面では男女の差は大きいので「物理的に殴らない/殴るにしても手加減は必要」なんですが、「反撃を受けることがない」という意識を相手に与えてしまうことは同時に「こいつ(男)は結局私(女)を下に見ている」という意識もまた相手に与えてしまうことなんじゃないかと。強者の余裕/矜持と書くとカッコイイですが、早い話、相手を馬鹿にしている。

女性が一般的に「加害者性を自覚できない/私は被害者にしかならない」という意識を醸成するのも、結局は「男が女を舐めている」ことの裏返しにすぎないように思うんですよね。大概の男性は、女性の性的資本に左右されるか否かに関わらず「女性は守るべきもの」という意識を持っているじゃないですか。「女子供」という表現がありますが、結局は「子供」と同じ扱いなわけですよ。皆さんも子供だった時期がおありだと思いますが、子供時代に自分が「子ども扱い」を受けて「当然のことだ。自分はまだ子供なのだから子供扱いされてもしかたない」と殊勝に考えたでしょうか。「納得いかねえ/子供扱いするな!」と反発を覚えたんじゃないか、と考えます。殊勝に「自分は子供なのだからしかたない」などと考えるようになれる時期は、大人への階段を登り始めた頃なんじゃないかと。

つまるところ、男は「女を舐めている」のではないか。「女は感情的だ/女に理屈は通らない」という話も同様で。最初から「女とは~」と決めてかかっているからそう観測してしまうのではないか。男性にだって感情を爆発させてコントロールが効かない人、論理もへったくれもない意見を言う人は多々いますが、それをもって「男は感情的/男に理屈を述べても無駄」とはならないでしょう。「その人物に対して正当に扱っても無駄」となるだけではないか。まあ、そういう面では女性は恵まれている、とも言えますが、男が色々いるように女も色々なんですよ。その「色々」に目を向けることを怠っているのではないか、という疑念があるのですがどうでしょうねえ。

じゃあ「どうすればいいのか」という話ですが…

やっぱり「これ」なんじゃないですかね(苦笑)。
ホッブスは「万民の万民に対する闘争」という有名な言葉から、「自然状態に在る人間達はその闘争の時期を経て互いに社会契約に基づく今日の世界を築いた」と主張しました。ロック、ルソーといった思想家達は人間理性を基準にした社会契約を説きましたが、人間、そんな高尚な存在だとは思えないんですよね。戦って傷ついて「ヤベー、このままじゃお互い死ぬ」と気づいてようやく理性的になる存在にすぎないのだと思います。戦争がいい例じゃないですか(笑)。冷戦期にはMAD(Mutual Assured Destruction:相互確証破壊)という概念から人類絶滅必至なレベルの核防衛体制が築かれましたが、これも結局はその変形にすぎない。ある意味、私達は自分達を信頼しすぎなんだと考えるのですよ。その矛盾が「女性の一方的な暴力」という形であらわれているのではないか、と考えます。「男も女も一皮むけばケダモノだ」と互いに認識していれば、軽々には「暴力で解決するのが一番だ」とはならんでしょう。それが本来の社会のあり方なんじゃないでしょうかねえ。

まあ、白饅頭日誌で書かれていた「潮目が変わった」という話が実際にそのとおりであるなら、私達の社会はすくなくとも男女関係においてはホッブスが語る「自然状態」に近づきつつある/戻りつつあるのでしょう。

うずくまって泣いていてもはじまらないのです。男も女も TOUGH に生きていくしかないんじゃないですかね。ホッブスが正しいのであれば、そこから新しい男女間の「社会契約」が生み出されていくのではないか、と考えます。人類の歴史はそうして続いてきたのでしょうし…

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