【終活110番055】お墓不要という人のためのゼロ葬

お墓は何のためにあるのでしょうか?
お墓はその家の先祖が代々永眠している場所です。家族を亡くし落胆している遺族が、故人を偲び、心の拠り所となっている場所でもあります。お墓参りを重ねることで次第に哀しみから解放され癒され、故人がいなくなったことに慣れていくのです。

一般的には家の跡継ぎが、財産とともにお墓の維持・管理も引き継ぐことになります。
しかし、少子化・非婚化・核家族化が進んだ今日では、子どもたちがお墓を受け継ぎ、管理や維持をしていくことがむずかしくなりつつあります。その意味では、お墓をつくること当然だとか、お墓はなくてはならないものだとかいう従来の考え方が、必ずしも最善とはいえなくなってきました。

お墓に対する価値観は年々多様化し、最近は加速度的にダウンサイジング傾向にあります。そんなニーズに応えるように、お墓はいらないという人のための「ゼロ葬」という考え方が生まれてきたわけです。また、先祖代々のお墓を手放す「墓じまい」をする人も増えてきました。

お墓を建てるとなると、お墓の永代使用料や墓石の価格など、あわせて約200万円(全国平均)ほどかかります。葬儀を執り行った場合の費用(全国平均の200万円)と合わせ、故人を供養するための費用は、トータルで約400万円ほどかかるのが一般的です。どこかのお寺の檀家になれば、毎年それなりの檀家料も必要です。

0葬は、コストの面で、遺族や子孫に金銭的な負担がかからないという大きなメリットがあります。読者のみなさんは、ゼロ葬(0葬)という言葉を耳にしたことがありますか?

0葬(ゼロ葬)とは、故人に対するお通夜や葬儀を行わないことをいいます。また、0葬の選択をした場合、これまで遺骨を埋葬する場所として存在していたお墓が不要となります。

0葬を選択した場合、火葬して荼毘(だび)に付されたのち、火葬場に遺骨の処理を委託する他にも、永代供養や自然葬(樹木葬)、散骨といった選択肢もあります。ただし、各自治体の「火葬場条例」により、ある程度、選択肢が限られているのが現状です。0葬を検討する場合には、各自治体や葬儀場などに問い合わせてみるといいでしょう。

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