部下にとって最高の上司とは? ~部下の4大欲求~

部下にとって最高の上司とは? ~部下の4大欲求~数年前に大企業の主任クラス(勤続5年から10年)100人に聞き取り調査を行いました。お題は、「アナタにとって最高の上司とはどのような人か?」です。結論はこうなりました。「最高の上司とは、部下のあらゆる望みを叶えてくれる人である」。で、この「あらゆる望み」を因数分解してみると、「経済的要望」・「社会的要望」・「労務的要望」・「精神的要望」の4つが浮き彫りになりました。

経済的要望というのは、基本的には給与・賞与・昇給のことですが、「稼ぐための具体的ノウハウを教えて欲しい」といったものも含まれます。社会的要望とは、ステータスや認知度。昇進・昇格はもちろん、重点プロジェクトにアサインされるといった、自尊心を満たされるような配置も含まれます。労務的要望とは、残業の低減とか有給休暇の取得率とかの問題です。介護休暇や育児休暇も含まれるでしょう。

興味深いのは、これら3つについては、部下は要望してはいるものの、現在の上司がこれを満たしてくれるとは思っていない、ほとんど期待していないということでした。そりゃそうでしょう。部下が給料を上げてくれとリクエストしてきたからと言って、「ハイ、そうですか」となるわけがありません。「昇格させてくれ」と言われて「わかりました」と言えるはずもないわけです。有給休暇の100%取得や残業ゼロにしても、それは理想でしょうが、上司の一存で実現できるがはずがないことは、まともな部下ならみんな理解しているわけです。

問題は、さいごの精神的要望です。これを具体的に言うと、上司から「好かれたい」・「必要とされたい」・「褒められたい」・「期待されたい」・「信頼されたい」という想いです。部下はだれしも、自己の存在を認知され、上司や組織の役に立ちたいと思って日々働いています。時には失敗だってあるでしょう。でも、悪意を持って上司の顔に泥を塗ってやろうとか、組織に損失を与えてやろうなどと考えて、意図的にミスをする部下はまずいないはずです。そう考えれば、何かの縁で自分の下に配属された部下たちを、預かった期間中に「少しでもベターな方向に持っていってやろう」という気持ちになって然るべきではないでしょうか。

人心掌握のためには、私たち人間の根源欲求と言ってもいい、上司から「好かれたい」「必要とされたい」「褒められたい」「期待されたい」「信頼されたい」を満たしてあげればいいのです。そういう言葉をかけてあげるだけでいいのです。上司のそういう言葉の数々が、人心掌握のための最強の武器になるのです。いいですか。上司の言葉だけでいいのです。部下たちは、もっともっと自分の存在に目を向けてほしい。それを言葉で表して伝えてほしい。ただそう熱望しているのです。

これは悩める上司たちにとって朗報です。だって、部下の精神的要望を満たすのに、一切コストはかからないわけですから。つまり、上司はほとんどコストをかけずに、気の利いた言葉を駆使するだけで、部下をソノ気にさせることが可能だということです。

言葉は人間関係構築の道具だと言われますが、ときに問題解決の手段であり、ときに、意図する方向に他者を動かすための最強の武器にもなり得るということを再認識してください。上に立つ者は、自分の口をついて出る一言一句に覚悟と責任を持たなければなりません。

部下はだれしも、自己の存在を認知され、上司や組織の役に立ちたいと思って日々働いています。時には失敗だってあるでしょう。しかし、悪意を持って上司の顔に泥を塗ってやろうとか、組織に損失を与えてやろうなどと考えて、意図的にミスをする部下はまずいないはずです。

そう考えれば、何かの縁で自分の下に配属された部下たちを、預かった期間中に「少しでもベターな方向に持っていってやろう」という気持ちになって然るべきではないでしょうか。それを具現化するための手段が、気の利いた上司の、気の利いた言葉なのです。こんな、お金もかからない簡単なことができていない上司がいかに多いことか。これは衝撃的な事実だと思います。

上司にしてみれば、できていて当然のことかもしれない。しかし、当たり前のことをキチンとこなしていることにフォーカスして、「ちゃんと見ているよ。その調子で頼むよ」と言ってあげたいものです。

特に顕著な成果を上げた場合には、「いゃあ素晴らしい。見事だったよ。大したもんだなぁ」とホットに称賛してあげたい。残念な結果に陥ってしまった場合には、「ナイス・チャレンジ。新しいことにひるまず向かい合っていく姿勢はなかなかのもんだった」と、やはり称えてあげたいものです。

次にどうするかを考えさせるのはその後の話だと思います。十分に反省している部下や、落ち込んでいる部下を感情的につついてはいけません。上司であるあなただって、過去に失敗した経験があるはずです。良かった点を指摘してあげた上で、「次はどうやったらうまくいくか」を考えるきっかけを与えてあげる。部下側に主体的にアイデアを出させることです。なかなか適当な案が部下の口をついて出てこないときは、ヒントになりそうな逸話を聞かせてあげてください。そして、それについてどう感じたかを質問してあげるのです。

大日本帝国海軍の名将、連合艦隊司令長官の山本五十六は、(実話かどうかはわかりませんが)軍隊教育の時代にあって、部下の育成に卓越した人物として、多くの映画や本に描かれています。彼が人財育成の要諦として胸に刻んでいた言葉があります。これは、現代においてOJTの標準ステップにもなっている明言です。

「やってみせ、言って聞かせてやらせてみ、ほめてやらねば人は動かじ。
話させて、耳を傾け承認し、任せてやらねば人は育たず。信頼し、黙って見守り労って、やり遂げさせねば人は実らず」

江戸時代後期、米沢藩の財政立て直しに腕を振るった上杉鷹山のことばを気に入った山本五十六がアレンジしたものだと言われています。

人材育成に人財育成においては、部下本人に気づかせ、覚悟させ、言わせる方向に持っていくことが肝要です。まちがっても上から押しつけたり、説教したり、命令したりしてはなりません。自分自身に問いかけてみてください。

あなたは、上から命令されるのが好きですか?             一方的に命令してくる上司に対して、どのような感情を持つと思いますか? 

それは、考えるまでもない簡単な話です。

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