【終活110番050】新時代のお手軽葬儀

最近は、葬儀にもダウンサイジングの波が押し寄せてきています。要は、安く済ませたいということです。核家族化が加速し、価値観も変わり、葬儀費用を極力抑えようとするケースが急増中です。生前に、その旨を家族に伝える人も多くなりました。「家族のみ&通夜のみ」の家族葬はもとより、お通夜さえも行わない『直葬』は、特に現代人のニーズを捉えているようで、事業規模は拡大を続けています。

葬儀費用を抑えたいなら直葬がベストです。直葬は、葬儀における儀式的な部分を一切排除して、火葬するだけに絞ったものです。ついでに言うと、火葬したあとの遺骨すらほしくない。捨ててもらって構いません…というのが『ゼロ葬』で、これまた人気を集めています。ただ、都会では遺骨の捨て場所が確保できないため、条例で「遺骨は遺族が持ち帰ること」とされていることがほとんどです。

直葬の流れは、こんな感じです。
家族の死亡が確認されたら、あらかじめ決めておいた葬儀社に連絡して、病院もしくは自宅に遺体を引き取りに来てもらう。葬儀社で死亡後24時間安置(法律の規定)してもらってから、翌日、火葬場へ運んでもらいます。納棺・出棺には立ち会わなくても構いません。家族が遠方に住んでいる場合でも、葬儀社に電話一本かけるだけで済むのです。遺族は、火葬終了後の適当なタイミングでお骨を受け取りに行けばいい。こんな具合だからとても簡単ですし、費用的にも20万円程度。お値打ちです。
ちなみに、「全国の葬儀費用平均=200万円」なるデータは、葬儀業界が広告に使用しているだけで、かなりあやしげな調査結果だと思います。

このように、葬儀を合理的済ませようという風潮が進んできているのが現実です。いろいろな事情で、葬儀におカネをかけられない場合、こうした選択肢があることを情報として持っておくことは役に立つと思います。

ついでに言っておくと、人が亡くなった場合に、法的にしなければならないとされているのは、死亡届と火葬のみ。お通夜、告別式、墓地、霊園、埋葬、卒塔婆、戒名、位牌、遺影、読経、法事…。これらはすべて義務ではありません。おカネがなかったり、そもそも信心深くなかったり、何かしらの事情があるのであれば、ほとんど何もしなくたっていいのです。昔からの慣習にとらわれる必要はありません。要は気持ちの問題だと思います。

核家族化が進んで家という概念が希薄になり、親類縁者との関係も緩くなった現代においては、この傾向はますます進んでいくと思われます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?