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世紀末美術館⑦

⑦カポーティと絵

彼女の唇は、ひびわれてかさかさになっている。何と切り出したらいいのかわからずに震えていて、まるで言語障害にかかっているようだ。目は、ゆるくはめこんだおはじきのように眼窩のなかでくるくる動いている。その、おどおどして内気な様子は子どもを思わせる。「絵を持ってきたんです」彼女はいった。
/カポーティ「無頭の鷹」、川本三郎訳


もしかすると存在すらしていないぼくのてのひらにあるぬばたま




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