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広瀬すずの演技が好くてビックリした!

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映画「三度目の殺人」(監督 是枝裕和)

映画は何も回収されないまま、突然終わる。途中で「群盲象を撫でる」のたとえが出てくるが、まさに事件の断片、断片がばら撒かれたままだ。

果たして、この事件の全体像はどういうものなのか? そもそも、この事件は被告人・三隅(役所広司)の二度目の殺人のはずだ。タイトル「三度目の……」は何を意味するのか? そして、あまりに月並みだが、真実はどこにあるのか?

「法廷戦術」とか、「訴訟経済」とかいう大人の都合で裁判は進む。この物語で真実を述べているのは、誰なのか──? それは、殺された実父から性的暴行を受けていたという被害者の娘・咲江(広瀬すず)のように思える。

そんな告白をしてまで、三隅を助けたいとする咲江が嘘を言うとは思えない。

彼女は、

「私はお母さんのように見ないふりをしたくないから……」

と言って、頬に一筋の涙を垂らし、主人公の弁護士・重盛(福山雅治)を見上げたのだ。

──と、ここまで書いて思い出した。映画の前半で、同じ年頃の重盛の娘は、

「けっこう、みんな引っかかるよ」

と言って、同じような涙を一滴垂らしてみせ、笑ったのだった。

ネット上には、咲江真犯人説が散見されるが、私はそうは思わない。あの涙は嘘かもしれないが、だとしても、それは重盛を動かすための涙であって、それ以上の意味はないだろう。

咲江は終盤、

「ここでは誰も本当のことを言わない」

と裁判所の休憩室で呟く。

三度目の殺人とは、結局大人たちが誰も真実に向き合おうとしなかったことで、咲江を──彼女の人間性を──生きながらにして殺した、ということではないだろうか。

画像引用元 Cinemarche

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