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まちづくりに関わる建築家、関わらない建築家【まとめ】

2021年2月18日(木)21時〜22時半

2月18日、clubhouseで「まちづくりに関わる建築家、関わらない建築家」について話し、約70名もの方が聴講してくれた。

この回を企画した経緯としては、SNSなどを通じて、全国のまちづくりの取り組みを知る機会が増え、その中で建築家や建築出身者が多様な人と連携しながら活躍する姿を目にした。

一方で、自分の街に目を向けると、他の自治体と比べて自治体規模も小さくない、市内に建築系学科を有する大学がない訳でもない、ましてや毎年3月には全国の建築学生の卒業設計展が開催される。

なのに、日頃まちなかで建築家や建築出身者、または現役の建築学生が活躍する場面を目にすることが少ないと思い、この差はなんなのかと感じたからだ。

その疑問を率直に投げかけてみたかったので、この回を開催しました。

問1|建築家がまちづくりに関わる動機とは。

まちづくりは、ベネフィット(マネタイズ)が見えないことがそもそもチャレンジしたくなる動機が生まれにくい課題の一つ。

振り返ってみれば数年後に、別の業務につながっていることが多い。

建築家がまちづくりに取り組んでいることが、ある意味、全国に知ってもらえる「広告的効果」が強いのではないか。

その社会が建築をつくると言われるように、アカデミックな場での研究だけでは都市や建築は実現しない。
まちづくりを通じて、社会の反応を見ながら実験的に理想の姿を検証できることは多い建築家の作家性や独自性の確立に寄与すると思う。
建築を通じて都市や社会に問いを投げかけてほしい。

問2|なぜ建築家にまちづくりに関わってほしいと考えるのか。

社会に対して問いを投げかけること。私は今、東北に身を置いているが、3.11東日本大震災からもうすぐ10年。言いかえれば建築家不要論が叫ばれてから10年とも言える。当時、多くの建築家が現地に訪れた。

詳しくは記載しないが、当時、国の期待に対して建築家ができたこと、できなかったことがあった。求められた1つのスキルが人と人の調整力と空間化する専門性を総合してまとめあげるアーキテクトとしての役割だったと思う。
次の震災があったときに機能できるように、建築家の役割を考えておきたい。
住宅作家ばかりでは、再建時に設計することはできたとしても、災害時にアーキテクトとして振る舞うことは難しいのではないか。それを平時のときから身につけておきたいなと思っており、その格好のチャレンジの場が公共空間を使った社会実験やまちづくりだと思う。

問3|まちづくりに関わる建築家の事務所規模はどのくらいか。

建築家である誰もがまちづくりに関わって欲しいとは考えていないが、事務所の規模や所員数、受注業務全体に対するまちづくりにあてる割合みたいなものは知りたい。

独立した初期であればあるほど、少ない人数で経営しているので、設計業務以外に、まちづくりに人が避けない。

まちづくりの初期段階は、自社で費用を持ち出しがほとんどであり、負担が大きい。

全国の自治体には、まちづくり専門家派遣制度やアドバイザーとして登録することができる仕組みがあるので、そういうところから地域に関わってはどうか。

また、大学に属しながら研究の延長として研究室を持ちゼミ活動としてまちづくり(社会)にも接しながら、アカデミックと実務をやる人が必要なのでは。

提案1|行政の想いが伝わっていないロスを減らすこと。

行政用語をそのままリリースされても、ピンと来ない人の方が多い。
例えば、都市再生推進法人という言葉を聞いてもピンと来なかった。

よくよく調べていくと道路や公園などの公共空間に対して、社会の課題を解決しながら建築の人が活かせる分野であることがわかった。

翻訳する人の存在や行政の新しい制度や仕組みは、情報発信の仕方が大事。
リリースして終わりじゃなく、ちゃんと伝わったかの検証も必要。

エリアを指定して、その場所の課題を解決しながら理想の街をつくっていく。ウーブンシティの規模までいかないまでも、小さなエリア内で複数多拠点の空間をつくりマネジメントしていくことは社会をつくることにつながる。

提案2|手続きの煩雑さをなくす支援ツールで具現化する。

昨年、国交省から路上テラス活用が公表され、6月頃から全国で歩道空間活用が取り組まれたが、できた地域とできなかった地域があった。
ソトノバが全国の取り組み事例をマップにまとめていたが、私はあれを見て、実施した地域よりも、実施できなかった地域に着目していた。

これは仮説だが、明日の売り上げの心配しながら申請手続きの方法を理解する時間をとることができず、やりたかったけどやれなかった飲食店も多いのではないか。
そして、やむを得ず閉店した店もあるはずだ。

国の動きに合わせて自治体には路上テラス活用の申請窓口が設置された。

行政は、「実施したかったけど、できなかった飲食店を救済できなかったこと」を意識的になるべきだと思った。

そんな想いから、店舗の目の前にある道路の幅員を入力するだけで、道路の活用可能な範囲が可視化される「道路占用許可支援ツール(β版)」(2020年8月)を作った。

制作協力:株式会社白矩

とくに解消したかったのは、道路管理者、交通管理者(警察)への説明書類です。両者は横断図を元に道路法、道路交通法、点字誘導ブロックの離隔、その他の条例に準拠しているのかを確認する。

だから法律上、確保しなくちゃいけない寸法から逆算して、活用可能な範囲を示すことから、飲食店の人に「うちの店の前の道路は、このくらいの広さを使えるんだ!」と認知してほしかった。

そこから道路活用の議論を始めたかった。

つまり、いきなり緩和するんじゃなく、また行政側のルールに人(住民)が合わせるんじゃなく、対等に議論できる環境を日常的に作りたかった。

メジャーならホームセンターでも売ってるし、自分の身長や歩幅、別のものを代用して測り、おおよそでも入力できる。

それによって、飲食店などの専門的な知識がない人でも考えられ、明日の暮らしや経営をどうしようかと考えられる土台に乗っけたかった。

新型コロナで密を避けるために店内の客席数を減らせというのではなく、①店内の客席数を減らした分、②規制緩和で路上をテラス席として使えるようにし、③その結果、売り上げがコロナ前と同等になったかまでを検証して、初めてその制度の効果が得られる。

②のテラス活用ができた店舗数が全体に対してどれだけあったのかを知らなければ、効果検証できない。

※支援ツールは、β版なので無償で利用可能。

この支援ツールは、コロナ禍のテラス活用だけでなく今後、国交省が推進している「歩行者利便増進道路」指定の際にも、行政と民間が互いに検討しあえる環境が作れると思う。

提案3|「建築倫理学」の可能性

仕様書や要綱の作り込みに担当者の想いが感じられると、参画する側にも意図が伝わる。

最近では、住田町のプロポーザル実施要領が話題になった。人口約3万人の自治体に、全国から応募が殺到した。作り手である建築家の心を動かす言葉の凄さを感じた。

発注者に求められる「建築倫理学」という分野が必要かもしれない。

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