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こんな思いをしてまで人は恋をするのか?

失恋ソングに人が共感する理由がわからなかった。…否、最近まで忘れていた。

高1の失恋時、僕はRADの4枚目のアルバムのドロッドロに女々しい歌詞に共感して涙したし、影響されてポエムなんかも書いた(恐ろしいのは、このポエムを捨てたのが最近だということ)。

その失恋以降、大きな恋愛は数えるほどだった。19〜23歳という時期に人並みの恋愛をしなかったせいで、どこかズレてしまったのかも。僕はどんどん失恋ソングの哀しみを理解できなくなっていった。

今「ドライフラワー」という曲がバズって、そこかしこで流れている。優里さんの歌声は好きだけど、正直歌詞への共感はなかった。

最近別れた、女優の杏似の女の子のことを考えるたびに、この曲が頭の中で流れるようになってしまった。

やめろ、歌うな、と念じてもそれは脳内でループする。

激安スーパーで買ったチーズケーキを、ベッドに座り込んで手づかみで食べていたのを思い出した。

「こんなとこ見られたらお母さんに怒られるな」

と言っていたのが記憶にまだ新しい。

殺風景とまで行かないけど、オシャレで整った部屋。そしてそれまではお行儀が良かったのに急にお茶目なことをする。

チーズケーキは豪快に消えていった。残り半分のケーキを、僕は彼女の真似をして食べてみた。

当時は甘いと感じたはずなのに、今思うと少ししょっぱかった。

◇◇◇

電話で振られたその日、縋りつこうとする自分を必死に抑え、大人のふりをした。

「なんでこんなことに」と思ってしまうのだけど、冷静に考えると振られるポイントが各所に散りばめられていた。

微妙に盛り上がらない会話とか、グダグダになるデートとか。僕の実力不足といえばそれまでなんだけど、絶妙に少しずつなにかがズレていた。

それでも彼女がまだ忘れられなくて、昨日は夢にまで登場されてしまった。

勘弁してほしい、ほんとに。

こんな思いをしてまで人は恋をするのか。失恋ソングがバカ売れする理由も頷ける。こんなの、聴いちゃうに決まってる。

◇◇◇

彼女と過ごした時間は短くて、計4回のデート分しかない。それでも彼女が僕に与えた影響は大きいと思っている。

伝わるかわかんないけど、1度剣を交えただけのヒュンケルとラーハルトが戦友になるみたいな。(全然的外れかもしれない。あくまで僕のイメージだから、わかる人だけわかってもらえれば…)

さすがに僕も大人になって、あの別れ方をしてしまったら復縁はないということくらいはわかった。

彼女が残したもの(物体的な意味じゃなく)、それだけ持ってこの先を生きていくしかないんだろうな。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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