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楯の乙女 ― ヴァイキングの女戦士

2017年9月、スウェーデンで発掘されたヴァイキングの上級戦士(指揮官クラス)墓に埋葬されていた人物が最新のDNA鑑定の結果、女性であったことが判りました。

https://www.uu.se/en/research/news/article/?id=9272&area=2,5,6,10,16&typ=artikel&lang=en


最初に発掘されたのは1880年代で、当時は有力な首長クラスの男性の墓だと思われていたようです。

場所はヴァイキングの交易都市ビルカ、時代は10世紀中頃。

剣、斧、弓矢などの武器と2頭の馬、ゲーム盤と駒 (ネファタヴルでしょう) がともに埋められていました。

彼女は神話に登場するヴァルキュリア(ヴァルキューレ)のような存在ではなく、指揮官 (首領) として戦いに参加したのだろう、とストックホルム大学の研究者は話しています。

楯の乙女 (スカルメール、英語では Shield Maiden )という言葉がノルド語にあるように、女戦士は存在したと考えられていましたが、実証されたのは今回が初めて。

海外ドラマ 「VIKINGS」 にも、ラゲルサをはじめ女戦士が何人も出ています。このドラマで描かれているほど数は多くなかったのが真実だと思いますが、女性の戦士は実在したはず、と私も考えていました。

彼女たちは何故、戦うようになったのか。
自ら望んで戦士になったのか、それともやむなく戦ったのか。
夫や兄弟の仇討のためか、一族の復讐か。

想像は膨らみますが、当時のヴァイキング社会では、女性の権利は守られていて、決して弱い立場に置かれていたわけではありませんでした。

男たちが夏、掠奪や交易に出掛けている間、農場を仕切るのは女たちでしたし、女性の側から離婚できたり、賠償金を得ることもできました。

人類の歴史は戦争の歴史、とよく言われます。

男性は名誉欲や出世欲がありますから、領土を拡大するために戦ったり、権力闘争などを繰り返してきました。
そして、そのたびに迷惑を蒙るのは女性だ、と。

でも、男性社会に翻弄されてきた女性ばかりではなかったと思うのです。
自ら武器を取って立ち上がった女性もいたでしょう。
男性のように力による攻撃的なものではなく、何かを護りたい、という思いからだったかもしれませんが。

壮大な夢を追う男の傍には大抵、現実的な女がいるものです(笑)

大切な人やもの(家族とか土地とか平和とか)を護るために戦う女性。
スウェーデンのビルカに眠っていたヴァイキングの女首領は、どんな人物だったのでしょうか。
何を思い、何のために戦ったのか。
興味は尽きませんね。

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