デンマークで注目されるサステナブル・ファッションとは?
近年、デンマークでは、世界中から企業が集まる国際的なファッションやデザインの祭典が開催されるようになってきています。たとえば、6月15−17日に開催される3Days of Design、8月に開催されるコペンハーゲン・ファッション・ウィークなどがあります。
近隣にファッションの都『パリ』など昔から注目される都市がある中、北欧のファッションは、歴史が深いわけではありません。ただ、今の社会において重要なある一つの観点から、北欧のファッションやデザインは、世界的にも注目されるようになっているのです。
その重要な観点とは、サステナビリティです。
デンマークのファッション業界
サステナビリティの話を始める前に、北欧のファッション産業の歴史について、もうすこし紹介しましょう。
今やデンマークにとって「ファッションは重要な産業」になっており、この30年の間に、シューズ(ECCOなど)やスポーツ用品(Hummelなど)などを筆頭に、大きな輸出産業に成長しています。
歴史が浅い、と前述しましたが、デンマークの産業においてファッションへの比重が高まってきたのは、1990年代以降と言われます。社会全体が少しずつ豊かになり、ルイ・ヴィトンやグッチなどの海外のラグジャリーブランドの知名度が高くなっていくとともに、デンマークのファッション業界にも多くのハイエンドファッションが増えていきます。
国内向きの産業であったデンマークのファッション業界は、次第に輸出市場主導のファッション生産へと変貌を遂げることになります。そして、輸出が徐々に増加し、重要な輸出産業としての地位を確立していきます。2008年の金融危機以降も、業界は成長を維持し、2018年までの10年間で輸出が68%増加しているそうです。
サステナビリティの祭典
デンマークのファッションやデザインの祭典では、近年、サステナビリティが重視される傾向にあり、イベントに出展する企業は、サステナビリティへの配慮が不可欠になってきています。いくら素敵なお洋服や雑貨でも、その背景に児童労働や資源の無駄遣いが透けて見えるような製品には、業界全体そしてサービスやプロダクトを受け取る社会側がNOを突きつけるようになっているのです。
デンマーク発の多くのファッション企業は、もともとサステナビリティに配慮する傾向がありましたが、その傾向は近年さらに強まっています。
コペンハーゲン・ファッション・ウィーク
コペンハーゲン・ファッション・ウィークは、今や北欧を代表するファッションウィークともいえますが、はじまったのは2006年です。やはり歴史は短いですね。開催時期は、1月または2月と8月で、毎年、年に2回開催され、CIFFとRevolverという2つのトレードショー及び4日間のショーケース・イベントで構成されています。イベントには、ファッション界の著名人やリーダー的存在の業界人が参加します。
2019年頃には、コペンハーゲン・ファッション・ウィークは、スカンジナビアで唯一の持続可能性を打ち出すファッションウィークとして認知されるようになっていきます。現在、イベントの実施方法に大幅な変更を加え、北欧としての持続可能性のメッセージ性を強め、業界全体がよりサステナブルになるための段階的な施策を次々に打ち出しています。
たとえば、2020年に、コペンハーゲン・ファッション・ウィークが打ち出した「2020-2022サステナビリティ・アクション・プラン」宣言は革新的です。これは、すべてコペンハーゲン・ファッション・ウィークのショーに参加するブランドが2023年までに準拠しなければならない最低限の基準として示されました。つまり、2023年のコペンハーゲン・ファッション・ウィークからは、参加企業は、次に挙げられるような持続可能性の取り組みの最低基準を満たしている必要があるというのです。
基準の一部は次のようなものです。
3Days of Design
6月に開催される3Days of Designは、多くのファッション・アパレル・デザイン企業が参加し、今年は、コペンハーゲンのMUJIも参加するのだそうです。
3Days of Designも、コペンハーゲン・ファッション・ウィークと同様サステナビリティを謳い、イベントでは北欧の目指すファッション・アパレル像を全面に打ち出しています。
コペンハーゲンの街全体を舞台に、10箇所で展開されるイベントは、展示やトークイベント、そして販売などもあります。訪問者とオーガナイザーの距離が近い北欧のイベントなので、もしかしたら憧れのデザイナーにも会えるかもしれませんね。
北欧研究所では、3Days of Design、コペンハーゲン・ファッション・ウィークに参加し、報告をしたいと思っています✨
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