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怪我した部位は”被害者”

例えば、靭帯損傷や肉離れなどの怪我。
これらを「不運/運が悪かった」扱いをした瞬間、”見えなくなるもの”が非常に多くなってしまう。
膝を例にとると、靭帯損傷や半月板損傷など膝の怪我の下部構造として存在しているのが動作時の『膝へのストレスの増大と蓄積』である。
膝にストレスが集まるということは、膝単体での出来事ではない。つまり全身が関係する。
膝の怪我は膝が悪いのではなく、膝が”被害者”である。


膝が怪我するシーンに深く関係するのが踏ん張って身体を支える動作。
膝の怪我の多くは踏ん張っている(足部が地面などに固定されている状態)ことが前提として発生する。
膝の周囲の関節、股関節足関節そして足裏(足首)が十分に荷重動作に参加できていれば、それらによる緩衝作用によりストレスが分散されて膝へのストレスは軽減される。これらの関節群には衝撃吸収メカニズムが組み込まれている。
(そしてもちろん上半身も関与する)


しかしこのとき股関節や足関節が固かったり弱かったり、または上手く使えなくて荷重動作に十分に参加できない、衝撃吸収メカニズムがうまく利用できない場合、膝のストレスは確実に増大する。


この様式の運動を繰り返し行っていくと、膝はストレスに耐えるために組織を硬く変性させたり、周囲の筋肉を常時緊張させたりする。本当に少しずつだ。気づかないような小さい変化が積もり積もった状態は、気づかないうちに身体を変える。気づかないうちに、動きを変えていく。


組織はストレスが加わり続けた部位は修復が追いつかず、結果として慢性的な硬さや痛みになったりする。
ひとつひとつのロスは気づかないほど小さくても、それは確実に身体そのものと動き方や意識には蓄積される。


そのような状態が、膝の靭帯損傷や半月板損傷のような一般的には”突発的な事故”(=仕方ない)のような扱いを受けている怪我においても『土台』として存在している。(さすがに打撲系は除外)

多くの怪我は、動作におけるこのような微細な「非効率性」の積み重ねが要因となっている。



怪我だけを、怪我した部位だけを診ていても解決しない。
解決したようにみえても、膝への負荷集中パターンが解消されなければその先にあるのは高確率での再発だ。


それゆえ怪我の原因や復帰は、一般的に考えられている以上に長いスパンで考える必要がある。
突発的と思われている怪我であっても、発生してしまった土台は発生時点よりもっと以前から形成されており、その結果、膝にストレスが蓄積した、という構造が存在するからである。(つまり動きのパターン学習が関与している)



膝にストレスが集まる原因は全身にあると上述したが、膝への負荷は重心位置と深い関係にあるからだ。重心位置次第で、膝の負担は瞬時に何倍にもなる。
動きの中で重心位置は常に変わり続ける。全身の各関節がそれぞれの位置関係を常に調整し合うことで、膝に負担が集まらない重心位置を実現することで膝への負荷集中は無くなっていく。
だからもちろん上半身との位置関係も影響大。

だから膝の怪我は、いや全ての怪我は、「損傷部位の回復」という視点だけでは解決しない。
怪我の『下部構造』を解消しなければ、怪我の再発は必ず繰り返される。



そしてさらに重要なことは、そのような怪我につながるような非効率な運動様式は、全く同時にパフォーマンス的にも低いということ。
裏を返せば、パフォーマンスを上げることとは力学的に効率的な運動を獲得することであり、『パフォーマンスを上げること』と『怪我を防ぐこと』は全く同じと言っても過言ではない。



追伸。
経験上ですが、特に上半身の動き(脚の位置への反応)が不十分になっていること多しです。


怪我の下部構造の解消技術を体系的に身につける方法

■JARTAの身体操作を体系的に学ぶ方法



全てはパフォーマンスアップのために。



中野 崇 


YouTube :トレーニングラウンジ|”上手くなる能力”を向上
Instagram:https://www.instagram.com/tak.nakano/
Twitter:https://twitter.com/nakanobodysync

1980年生
たくさんのプロアスリートたちに身体操作を教えています
戦術動作コーチ/フィジカルコーチ/スポーツトレーナー/理学療法士
JARTA 代表
プロアスリートを中心に多種目のトレーニング指導を担う
イタリアAPFトレーナー協会講師
ブラインドサッカー日本代表戦術動作コーチ|2022-
ブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチ|2017-2021
株式会社JARTA international 代表取締役

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