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有楽町での出来事

有楽町。

転職活動になかなか力が入らず、でもまずは行動してから考えようと、色んな企業の人事担当者と直接会える説明会的なものに行ってみた。

先週から胃痛がひどく、この日も朝から白湯だけで臨んだ。こんな日に限ってとんでもなく寒い。温度計の数字は4。ふと目に入った自動販売機の温度表示は6。自動販売機の中に入りたい…と思った。

4℃
6℃

勝手がわからないまま会場入りしてしまったのでどうしようかとうろうろしていると、係の人がどんどん声をかけてくれ、どんどん企業ブースに連れていってくれる。今の私にはこれくらいがありがたい。企業ブースに入ればもうほぼカジュアル面談。久しぶりにスイッチオンして話を聞き、そして話をしたから、結構疲れた。でも少し心地が良い。「私は人と話すことでバランスを保ててるのだな」とわかった。前職時代は喋りまくらないといけなかったから魂抜けてたけど。

息抜きに出ようと施設の出口まで行ったら「すみません、今お仕事探されてますか?」と声をかけられた。咄嗟のことで「はい」と言ってしまったら、どうやら生保のスカウトのようだった。まずったな…と思ったけど、相手の顔を見ると、とても素敵な女性(おそらく50代)だったので、そのまま話を聞いてみることにした。この歳になってようやく「断る」ことができるようになったし、なぜ私を呼び止めたのかも気になる。生保の営業さんは少なくとも人を見まくってるプロだと思っているから。

距離を保ちながらも無理に警戒せず話してみるとテンポよく会話が繋がる。うんうん、この感じすごくいい。やはり相手は会話のプロだ。そして私だって新卒からずっと喋ってきた。
胃痛とか諸々あって元気出なかったし沈んでいたけど、「人の懐に入るのがとても上手そうね」と言ってもらえたりして、少し元気が出た。

「LINE教えてもらえない?」と言われてさすがに断ると「じゃあ電話番号はどうかしら」と言われ、それならLINEで…と答えてまたハッとした。まんまとやられてる私…と苦笑い。これもご縁。でもまぁ無視すればいい。とLINE交換して別れた。

そして夜、LINEが来たが、予定通り無視してみた。

でも今日になって、挨拶だけはしよう、と思い、連絡くれたことへのお礼と、何よりも「少し救われました」と本音も入れて返信をした。
もう会うことはないと思う。こういうのが苦手だ。つい良い顔をしてしまう、長年の悪い癖だ。でも今回は大丈夫。構ってられんのだ。力を入れる相手が違うのだ。

夜23時、LINEが来た。

「様々な葛藤の中で転職活動をされているんでしょうけど、自信を持ってほしいです。少なくとも私は、あなたと一緒に働いてみたいと思ったから声をかけたので。遅くに迷いましたが、返信が嬉しくてLINEしました。」

生保の営業さんたちを山ほど見てきた。前職の隣の部署はまさに生保の営業部隊だった。歯を食い縛り、時には涙しながらも数字を稼ぐ。感謝されることもあるが、とんでもないクレームになることもある。形のない商品を売る大変さをこれでもかと感じた。やってられん、とばかりに、事務所では、営業さんたちは悪態をつくこともざらだった。ということは、あの人だって事務所に帰れば何を言ってるかわからん。

でも、それでも、救われた。
人を見るプロに言われた言葉、少なくとも嘘ではないと思えた。

行動してよかった。

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