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飛び入りでウズベキスタンの結婚式を見せてもらった【中央アジア旅行記⑤】

 世界遺産の街、ウズベキスタン・サマルカンドの昼下がり。旧市街にある住宅の庭に何十人と男たちが集まっていた。テーブルがいくつも出してあって宴会の準備のようである。何かのお祭り…? と思って外からのぞき込んでいたら、おじさんたちが手招きする。誘われるがままに入り、言葉が通じない中でやりとりが始まる。お茶をいただきながら話すうち、誰かが「ウェディング」と説明してくれた。じきにごちそうが運ばれてきて、縁もゆかりもない外国人の私にも食べていけ、と言う。はじめ遠慮していたのだけど、再三勧められ、慶事だし貴重な機会という思いもあって、甘えさせてもらうことにした。

 後から詳しく聞くと、集まっていたのは新婦の家だったらしい。男性は男性だけで集まって食べ、女性はすぐ近くの別の場所で女性だけで集まって食べる。それから新郎たちがどんちゃんしながら新婦の許に行って、婚姻となるようである。その後はみんなでレストランに行って大集合し、披露宴のようなことをやるらしい。

 実は突如現れた新郎の兄が日本に滞在していたことがあるとかで、日本語が話せた。こうした詳しい説明は彼がしてくれた。新婦の写真はウェブに上げないでほしいが、ほかはオッケーとのこと。「奥さんの写真も友達に見せるだけならいいよ。ウズベキスタンの結婚式を日本で紹介してください」。私はウズベキスタンの人がいっぺんに好きになった。

 旅程はこちら。①カザフスタン・アルマティにソウル経由で入り、②キルギス・ビシュケク③カザフスタン・シムケント④ウズベキスタン・タシケント⑤サマルカンドと回った。


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 サマルカンドへは首都タシケントから列車で。同宿だったトルコ人のおじさんが同じ列車でサマルカンドに行くというので、配車アプリで呼んだタクシーをシェアした。宿からタシケント南駅へは約15分、わずか11000スム(約124円)だった。割り勘なので私が払ったのはさらにその半額。配車アプリ万歳。写真は、南駅の待合室。天井が高い。


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 ウズベキスタンは切符を持っていないと待合室やホームに入ることができない。切符は別棟で売っている。車両に比べてホームの位置が低い。係の人に切符を見せて乗り込む。


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 奮発? して買ったビジネス席は6人がけのコンパートメントになっていた。私のコンパートメントにはおじさんと私の2人だけ。前日、切符売り場の女性は「エコノミーはとんでもなく混むぞ」みたいなことを言って脅かした。そっちの混み具合は不明であるが、ビジネス席は空調も効いていて極めて快適である。10万1000スム、約1140円だった。車窓には乾いた平原がえんえんと続く。ときどき枯れた川や小さい街を過ぎていく。


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 サマルカンドまでは3時間ほど。おおむね定刻通りに到着した。


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 木々がつくる木陰に男たちが集う。遠慮がちに外から覗いていたら、手招きされたのだった。男たちは100人くらいいただろうか。


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 民族楽器らしい弦楽器や、アコーディオンの演奏。婚姻の雰囲気が盛り上がる。


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 男だらけの会場に唯一いた女性。最初、花嫁かと思ったが違った。音楽に合わせてくるくると踊り、テーブルに座っていた男たちはチップらしい現金を手渡していた。


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 テーブルには果物、ナッツ類、ジュースなどたくさん料理が並んでいた。祝いの席でも現地風炊き込みごはんのプロフは欠かせない。羊肉の油まみれで罪悪感を感じるほどのうまみがある。直前に昼食を取った店でプロフを食べてしまっていたのでお腹いっぱい。さかんに勧めてもらったのに、残念!


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 次々とごちそうが運ばれてきた。スープがいい味している麺。これは何とかいただいた。


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 ひとしきり食事が進むと、新郎(中央)が婚姻用らしい衣装を着せてもらった。この後、男たちがじゃんぼん行列で新婦の待つ家屋に向かう。

 

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 新婦の家の門扉の前にて。因縁のあるらしい布を男たちが全力で奪い合っていた。ブーケトスみたいなものだろうか。


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 門扉をくぐって中に入ると、女性側が庭先で宴会をしていた。撮影もウェルカムな感じだった。この後、新郎が屋内に入っていって、新婦と並ぶ。新婦は白を基調としたウェディングドレスのような衣装で、白いベールをかぶっていた。有体に言うときれいな人だった。


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 ウズベキスタンはイスラム教の国だが、女性たちは必ずしもスカーフをかぶっていない。肌の露出も割と許容されているようである。
 嫁入り道具らしい家具などのお披露目があったあと、新郎新婦は車に乗って移動。それに合わせてこの場も解散となった。みなさん、ありがとうございました。


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 さて、サマルカンドは観光地としても有名である。これは中心地のレギスタン広場。


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 中心部から20分ほど歩くと、突如として荒漠なる原野が現れる。最果て感ありますが、そんなに遠くではないです。

<中央アジア旅行記⑥へ続く。読んでいただき、ありがとうございました。よろしければフォローをお願いします!>

※2019年8月の旅行です。通貨はかなり大雑把に換算しています。
※全ての写真は筆者撮影です。カメラはニコンD700、レンズはタムロン28~75ミリF2・8。一切の無断使用や転載を禁じます。













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