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詩集

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2019年10月の記事一覧

世界が出逢う日



住んでいる世界が違うからこそ
二人は出逢い
そしてすれ違う
結ばれることはなくても
そこに、愛はある。

寂しさを笹舟に乗せて

月の見えない夜は
古いレコードでJAZZを聴こう
雨音をかき消してくれるから
後悔も
疑念も
羞恥心も
引き連れて
傘をさして歩こう
寂しさを笹舟に乗せて
あの川に流そうよ

紅葉

その人は別れ際に手を振る
小さく可愛らしく
ひらひらと
まるで紅葉みたい
秋は傷を癒やしてくれる
長い冬に備えて
あたたかい心があれば
どんな季節でも越えてゆける

ふつう

きみは時々こんな事を言う
普通の恋人みたいにって
普通ってなんだよ
そんな大量に作られた鋳型に
ぼくを押し込めるなよ
自分らしく生きたいんだ
未来が残酷でも絶望でもいい
らしく在りたいんだ
さよなら、普通の人よ

音のないラプソディ

あれは運命の出逢いだと思っていた
遠い、遠い、あの夏の空の下で
二人はそれを誓って
終わりは冬に訪れた
あれは確かに愛だったのに
恋ではなかった
愛していたのに、好きではなかった
永遠…
ぼくはただそれが欲しかった
何億光年も先にある未来に
栄光に
思いを馳せて
偽物だったぼくたちの
音のないラプソディは
誰もいない劇場で
無言のまま終演を迎えた
こんな日が来るなんて
いや、ぼくはきっと待ち望んで

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シークレット・ムーン

誰にだって人には言えない秘密が
ひとつやふたつあるだろう
あなたにも
ぼくにも
それでいいんだ
ぼくは何も聞かないから
手と手がふれあって
唇と唇が重なり合えば
隠れていた月が顔を出すから
今日もキレイだねと
ただそれだけを伝えたくて