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テレワーク救世主願望を超えて~2020年、オンラインとリアルのハイブリットのほんとうに人間らしい新たな世界を創る元年に私たちはいます

さあて、感染者数は不気味な水準で推移していますが、いろいろと平常時に戻りつつあります。ただ、安易に戻すのがよいのか、ちゃんと考えるフェーズです。特にオンラインの活用です。たまたまですが、昨日は倉嶋紀和子さんがよみうりカルチャーセンターで開催する異色の講座「古典酒場部」がオンラインで開催されました。もっともオンラインに馴染まない講座の1つですが、ZOOM呑みを使って愉しく開催できました。恵比寿、川崎、北千住の三校で開催されているのですが、今回は北千住校主催で、恵比寿と川崎の方も参加可能という粋なはからい。さらには沖縄からの参加者もいるという、リアルでは絶対にありえない場ができました。ZOOM呑みに慣れない世代も参加者に多い中で、北千住のスタッフの方が適切なガイドをしていたただき、多くの方がストレスなく酔い時間を過ごすことができました。リアルさながらに、ゼロ次会も二次会もあり、もちろん、リアル呑みとは異なる寂しさはあるものの、これはこれでありだなと感じました。ここのところ、仕事からみでのいろんなセミナーもオンラインで参加してますが、移動時間がないのでとても助かります。世の中のセミナーの大半は、リアルである必要はないなぁというのが実感です。ただ、つまらないとなると、途中離脱もセミナーのBGM化も気軽にできちゃうので、主催者にとっては厳しい面もあります。このイベントやセミナーのオンライン化は、絶対に継続して欲しいものの1つです。オンラインでいけるもの、オンラインの方がいいものと、リアルにこだわるものの適切な選別が行われることを願っています。そしい、リアル開催のものには、移動時間を費やしてでも参加する価値が求められます。その価値とは何かも重要な論点です。

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テレワークも世の中全体でややもとに戻りつつあります。果たして、移動時間を費やしてまで出社する価値とは何でしょうか。こちらもきちんと議論をした上で、平時のテレワークを設計する必要があります。平時のテレワークを議論する上で、敵となる1つの概念が「テレワークの救世主願望」とでもいう考え方です。テレワークにあった評価制度を考えて欲しい。テレワークにあったコミュニケーションの方法を教えて欲しい。テレワークにあったマネジメントスタイルを教えて欲しい、テレワークにあった勤怠管理方法があるはずだ、テレワークにあったタスク管理はどうやればいいのか、……。こういった、世の中にはきっと「テレワークにあった〇〇のやり方」というのがあるはずで、自分が今一テレワークでうまくいっていない感があるのは、「テレワークにあった〇〇のやり方」を教えてもらえていないからだ、それを教えてくれ、というのが、私のいう「テレワークの救世主願望」です。

もちろんツールの活用やちょっとしたTIPS的な知恵はあるでしょうが、大事なことは、「テレワークの救世主願望」を捨てることからまず始めましょう、ということかなと思っています。そんなものありません。テレワ―クによる最大の変化はたぶん「余白」「のり代」のなさです。極論すれば、これだけじゃないかと思います。

オンライン講演会で登壇したとき、講演時間が終わったらプツリと画像が切れて、自分は1人部屋に残されます。聴いてくださっている方の反応も、手ごたえもわかりません。参加者に久しぶりに聴く名前があっても、終了後に声をかけて近況を交換できることもありません。金曜日の夜に慶應MCCのラーニングイノベーション論にありがたいことに登壇させていただいたのですが、この時も終了とともにプツリです。仕方がないので、そのまま呑み続けていましたら、事務局の保谷さんから連絡をいただきました。感想を交換したりとしばし対話があったのですが、対話が終わってから「さすが世界の事務局の保谷さんだ」と思いました。「余白」「のり代」を埋める行動を自然とされているのです。参加者は二次会を開催するなどして、やはり「余白」「のり代」を埋める行動をしています。昨日の古典酒場部の一部メンバーも同様でした。よいテレワーク、よいオンライン活動には、「余白」「のり代」をどう創るかで決まるような気がします。事前学習なんかもその1つです。

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会議で元気がないなというメンバーに気づいたら、会議室から執務室に戻る廊下でつかまえて声をかけるマネージャーは少なくないと思います。これがリアルにおける貴重な「余白」であり「のり代」です。でも、そういうことをしていないマネージャーもいるかと思います。そもそも元気がないなと気づかないマネージャー、気づいても声をかけないマネージャー。これはオンラインでもリアルでも同じです。そして、オンラインになるとこのような「余白」「のり代」は意識しないと作れないのです。ここが違ってきます。なんせ「会議が終わるとプツリ&一人だけの部屋」ですから。でも、やるマネージャーは気になったメンバーとチャットをしたり、ショートミーティングを入れたりしています。これができるかどうかなのです。要は、オンライン時代のマネジメントというのは、本来やるべきことを意識して、それをきちんと意図的にやるかどうかだけじゃないかなと思うんです。リアルだと、意外とちゃんと意識しなくてもそこそこまわってたけど、オンラインだとそうはいかなくなることを私たち学んだんじゃないかと思います。原点に戻り当たり前のことをちゃんと工夫してやることが必要なだけなんじゃないかと思います。

これができていない人が声高々に、テレワークは生産性が低いとか、テレワークはメンタル不全をまねくとか、テレワークにあった仕事のやり方を会社はちゃんと考えろ、とかいい始めるような組織は危ないです。人事の皆さん、絶対に負けずに戦ってください。ものの本質を取り違えた上で、悪意のない責任転嫁を無意識でしていることになります。

2020年、オンラインとリアルのハイブリットのほんとうに人間らしい新たな世界を創る元年に私たちはいます。これ、オリンピックを開催するよりも意義のあることだと思いませんか。

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※写真は昨日の宇ち中さんの話に影響されて、立石の酒場たちです。




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