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017 決まったことをやる人と、やることを決める人

会社組織には、2種類の人がいます。それは「決まったことをやる人」と「やることを決める人」です。そして、この2つは、連続的ではなく、不連続的な存在です。
担当者は「決まったたことをやる人」です。もちろん決まったことをやる中でも様々な判断・決断は求められるので、何も決めなくてもいいということではありません。ただ、仕事の大半は振ってくるものです。実績を認められて課長になると少し景色が変わってきます。「やることを決める」ことができる余地が出てきます。しかし「決まったことをやる」だけでも、そこそこ課長の仕事というのはできてしまいます。そこそこ忙しそうに働くこともできてしまいます。しかし、そのような課長でいては、けして部長に上がることはありません。部長はまさに「やることを決める人」です。もちろん、様々な環境条件や経営者の方針等により、すべてを自由にできるわけではありません。しかし、自分の業務範囲においては、今までとおりのマネジメントをしているだけでは明らかに役割未満ですので「今まではこうだけど今回はこういうことをやる」「今までやっていない、こういうことを手掛ける」という方針を明確に打ち出さなければ仕事になりません。「決まったことをやる」ことを実に上手にできる人が、やがて「やることを決める人」になれるわけではありません。ここには能力と胆力の双方に、モホロビチッチ不連続層に匹敵するほどの不連続的な断層があるのです。課長になったら、もしくは課長になる前に、この能力と胆力を意識的に身につける必要があります。そして、実はそのチャンスはたくさんあるのです。
ここで大切な能力は何でしょうか。1つは相手の話を聴きとる力、相手の気持ちを感じる力でしょう。人事でいえば、相手とは経営者であり社員、そしてマーケット全体も含まれます。これがなければ、適切にやるべきことを決められません。やることを決めるとは、好き放題に自由なことをやるという意味ではありません。何が今、求められているかを、何を今やらないと後に悔いを生むのかということを考え抜いて、やることを決めるわけです。そのためには関係者との絶え間ない対話が必要です。
もう1つは、発想力でしょう。オリジナリティのある発想がなければやることを決められません。他者の模倣では本当の意味で決めたことになりません。
さらには、論理性です。やりたいことを筋道たって説明できなければ誰もついてきません。説明する能力、伝える力は必須です。書く文章でも必要ですし、話す言葉でも必要です。
これらの力は一朝一夕につくものではありません。そして、実は決められたことをやる立場である担当者の時にどんな心持で仕事をしていたかが、これらの力を得られるかどうかに、一番大きな影響を与えるのではないかと思います。過保護ではない20代・30代を組織の中で過ごすことは大切なことです。20代・30代で、何かについていろいろと考え抜き、時に反発し、様々なタイプの人の中で揉まれることが大切です。もはや大企業に就職した人が、最終的には損をする時代です。

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