Eerie (25首)
Eerie 丸田洋渡
見たような どこかで/どこでも 似たようなあなたがここに/そこに座った
あなたから違うあなたへのスライド 眩しいスケートのようでした
○
花にとっての剣山は 戦いと戦いと戦いの世界史
悲しいと言え 悲しいなら悲しいと言え 悲しいと言え 悲しいなら
バグ・アンド・リフレイン 夏から冬の春から秋の飛距離 野球の
機関車がそのまま幽霊になって轢き損なったものを轢きにくる
「歌が上手くなられたら困るんだ 「その喉がいいんだ 「困らせないで欲しいんだ
図書館の薄ら笑いを聞きながらすいませんの心になっていく
音が声に変わろうとする真夜中のせせらぎにあなたは立っていた
砂時計になった気持ちで呑み込んだ氷の立方体は今頃
歌声で世界が変わらないようにあなたは下手に丁寧に歌った
○
スプーンをナイフに持ちかえるときの魔が差したあなたを見逃した
あなたは可能性、妨げてはならない どこかで出会う車と車
サビが来てもう二段階奥がある。あなたのこれからに期待大
声帯の/星の乱れを良いことに筆談に淫した夏だった
あなたの声を私の喉で歌いたい 風に緊張するイヤリング
くたびれてソファー 運命論者から延々と結婚観を聞く
入れ代わり立ち代わり立川に止まりたちまちにあたまは空回り
Spiderweb 歌の予感に寄ってきた蝿と蚯蚓のため服を着る
降りながら雪は洗練されていく月の激昂は想定内
伝わったとしてそれまでの 歌声は間接的に雪を溶かした
うつくしさが後退する前に氷は読み尽くされる 順に倣って
来るたびにあなたが脳にばら撒いたせいで鏡世界の言語野
あなたになっているときは 酔ったみたいに 何を歌ったのか分からない
○
炙ったら文字が浮かんでくるようにあなたと一致した 初めから
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?