Empathize (25首)
Empathize 丸田洋渡
血でも流そうかと思う 真っ白い部屋にひとり七年の歳月
○
このままじゃ負けるよ? 中盤を過ぎてあなたの言うとおりになっていく
面白さが気持ち悪さに変わるとき缶蹴りの最後の方の缶
蛞蝓の感覚がして突きとばす 痛ッて 冗談じゃん、冗談
ピアッサー キルケゴールが好きだから話が合った人 ピアッサー
「死ぬなんて」が聞こえて直ぐに「死ぬなんて?」と先を促す 海の遠い街
君はやどかり〈多発する殺人事件〉白い貝殻見つけて拾った
贋物のダイアモンドに費やした工数に思いを寄せている。
復讐なら屈してあげるのも手かもゾンビ映画の無数のゾンビ
死んでも守る が 口癖のキャラクター 最終章で願いが叶う
いつかは死ぬ いつかは。奇跡で目が合ったあなたが通り魔とは思えずに
○
テレビを切ると心から楽になった それが悩みの種でもあった
こうなったらどっちがテレビか分からない生きているかもしれない友だち
詳しくてひと目で分かる加害者を巡るカラフルな相関図
フィクションとノンフィクションの境目を泣く泣く思いだすアナウンサー
時間が解決してくれるって 時間が解決してくれるって ねむる死刑囚
祖父母が病死で良かったなあと思うのは良くないことかもなあとも思う
色々あると言ってくれたのが良かった でもやっぱり悲しい田舎町
あみだくじ 上手くは行きません 彼の指が私に辿りつくまで
冗談で死刑と言える友だちが冗談で友だちを殴った
魔が差すとはどんな感覚 晴れながら降ってくる雪 あーーもう最悪
猟奇犯の好きな音楽聴きながらいつも買わないおにぎりを買う
解りたい 殺したいという気持ちを できるだけ早く 殺される前に
挑戦に意味があるから 立てこもり犯の私を殺すことにした
○
生きることが宇宙への復讐になる 宇宙にはごめん ごめんだけれど
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