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　短歌の連作です。

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　三十首　　　丸田洋渡


三十の首が置かれている宿に三十一として泊まりたい

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仮に詩があなたにとって不必要だったとしても　季節は四つ

似ている人を百人聞けば本人を見なくても（窃視趣味まで）分かる

似ている人を百人言えばまぼろしが実体を持ちはじめる　「来たよー

良い詩だね　ストローを氷に当ててあなたは自分自身に言った

唇に氷を当てて熱っぽい二人でテーブルを詩に書いた

未発表原稿を君に　花屋から水の気配を多分に感じる

詩もどきも詩であるらしい。真夜中の指を拐かす画面の液晶

春嵐（春の嵐を想起したあなたの早とちりを利用した）

　友だちよ
数として居てもらったら助かると、言うのも辛いよねえ　友だちよ

木蓮のねむりに醒める　占いで食っていくとは驚いたなあ

占い師の対決方法はこちらで決めさせてもらって良いですか？

ロマンティックな事故の車を避けながらペダンティックなカーブを曲がる

Black and Blue　比喩で治癒してくれますか　詩で桜は脱色できますか

　子どもは
アリ死ねー！（心でうごく子どもには、）死ねー！（話すべきことが）死ねー！

　アリは
人を見ると全身に悪寒が走る　ああ　あなたも　動物だからって

詩だからって死が軽んじられるのもね　死んだからって重んじられてもね

単なる非意味は詩ではないし／波／単なる詩を可愛がっているうちは／花

声が出ない──三十一頁参照。うなじを切り開いて水を抜く。

葡萄色　作中主体が光らせるピアスは心理描写の一つ

たちこめる煙のバスルームで暮らす　asphyxia, asphyxia, ray

トンネルを通って牛肉を買ってトンネルを通って服を脱ぐ

エクレアのクリームは溢れる予定　exquisite　カスタードの夜

太陽と月と地球の（性的な）三角関係をどう思う？

投げたボールは、しばらくは帰ってこない。地球でキャッチボールなんだから。

Wired/Weird　盗作の盗作　最低画質のあおいろのアイドル

詩ぬよりは遺棄ている方が好きだな　飛躍しないといけないからね

あなたの顔が文字で埋め尽くされていく駅前のアポリネールの雨

雨を読むとあなたのことが書いてある　詩のような無限の改行で

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三十首セット（完結）（状態：可）（言葉に目立つ使用感アリ）

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〈過去作品〉

Underneath the Letters

うつくし

Fluffy Bullet