それ、俺悪くなくない?
大事な人に「えっ」ってびっくりされるとぎょっとしてしまう。俺たちが何か悪いことをしたのかと思っちゃう。癖で。
意外なこと、親の想定にないことを俺が言ったりやろうとしたりすると、親は「え!?」とちょっと大きい声を出した。
俺は、とにかくそれが苦手で。
いざ言葉にしようとすると、それがなんでなのか理由が難しいな。
「親に逆らっちゃいけない」っていう印象をどこかの時点で持っちゃったのか、「え!?」っていう親が不機嫌そうに見えたのが怖かったのか。
それとも大きい声出されるのが、怒られてるみたいで怖かったのか。
とにかく長くいっしょにいる人にびっくりされたくないと思っていた。相手の想定の中で生きなきゃいけない、驚かせちゃいけないって。
でも大事な人が「えっ」っていうタイミングを観察していて、思った。
それ、俺悪くなくないか???
思いの外早く予算額に達する買い物は物価が高いせいで、俺が無駄遣いしてるわけじゃない。
俺がぱっと提案する寄り道は相手の想定になかっただけだ。
相手だって思いつきとか気分で動くタイプ。その中には俺の想定を外れた思いつきだってある。なんで俺だけが相手の想定の範囲内を探りながら生きなきゃいけないんだろう。
そんなの、単なる癖だ。唐突にそう気づいた。
俺の大事な人は、想定外を楽しんでくれるキャパのある人だ。びっくりはするけどおもしろがってくれて、できるだけ俺の思いつきに乗っかれないか考えてくれる。
相手をびっくりさせることは罪じゃない。1回たりとも「想定外のことしないで」って言われたことないんだし。俺が勝ってに顔色うかがっちゃうだけなんだよ。
俺の今の課題。
相手の反応にびっくりしないこと。思いついたら縮こまらず言う練習をすること。断られてもしょげないこと。
俺が親の顔色をうかがって引いた「想定内の線」の外側に出るのが怖くなったら、開き直って何回だって唱えよう。
「それ、俺悪くなくない?」
文責:翔
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