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図書館から「予約していた本が用意できましたよ。」というお知らせが届いた。


あぁそういえば…と思い出し、図書館までてくてく歩く。カウンターで予約した本を取りに来ましたーと伝えると、職員の方が後ろの棚からヨイショヨイショとすごく大きな本を運んできて、目の前にドン!と出してきた。

違う、わたし、こんなでかい本、予約してない…。
「あのっ、違うと思いますぅ…。」と小声で一応言ってみたものの、監修者の名前を見るとやっぱり私が予約した本だった。

世界の国からいただきます! https://amzn.asia/d/bEbNq4O

Amazonより

縦37cm、横27cmもある大きな本。(値段もびっくり!)
偶然ショッピングバッグを持っていてよかった。でなければ持って歩くのが大変だったし、雨も降っていたので本を雨から守ることができた。

なぜこの本を読みたかったかというと、この本の日本語版監修として岡根谷実里さんが関わっているから。

岡根谷さんを知ったのは、2019年にNHKで放送された『世界はほしいモノにあふれてる』という番組だった。その頃はまだクックパッドの社員だった岡根谷さん、台所探検家としてウィーンとブルガリアの台所を巡る回だった。この番組が好きで今もよく見ているけど、岡根谷さんの回は今でも断トツ一番に好き。

岡根谷さんはすごく小柄で、きっと外国だと子供に間違われると思う。しかし子供のように旺盛な好奇心と探究心で、あっという間に現地の人と仲良くなり、次の瞬間にはその人の家の台所に立って一緒に料理をしている。いつもそれがすごいなーと思ってみている。

物怖じせず、人の懐にすっと入っていく人間性と、何より食への飽くなき探究心は、食いしん坊の私にとってとても共感するところでもあった。

一度noteにコメントを書いたら、ご本人から返信をいただき、舞い上がるほど嬉しかったっけ。

そんな岡根谷さんがヨルダンに行くという番組を今年の春ぐらいに見た。

岡根谷さんのすごいところは、単に現地で料理を紹介するだけではない。台所というプライベートな空間から生まれる食を通して、世界の文化や社会情勢などを考えさせられるところだ。

例えばこのヨルダンの番組では、ヨルダンに暮らすシリア難民の食卓が紹介されていた。
知識不足で本当に申し訳ないのだが、シリアからの難民の人たちは、難民キャンプで暮らしているとばかり私は思っていた。
しかし、小さいながらもアパートで暮らし、子供を育てている。シリアというと、内戦で荒れ果てた国というイメージがあったけれど、オリーブがたくさん実り、食文化がとても豊かな国であるということを番組を通して初めて知った。そして難民だからといって貧しい食生活を送っているわけではない。祖国の味を大切にしながら、客人が来たならば大いに振る舞って歓迎するという、私の知らないシリアという国を見た気がする。

だからこそ私はこの本を読んでみたかったのだと思い出した。

話は変わるが、私は小さい頃から図鑑の類がものすごく好きだ。
小さい頃のお気に入りの図鑑は、動物が何をどのくらい食べるかという図鑑で、特にライオンと象のページが大好きすぎて表紙が擦り切れるほど読んでいた。

そんな図鑑好きがこの本を見て興奮しないわけがなかった。
この本では26カ国の食についての話や日本でも実現可能なレシピ、代表的な食べ物、宗教と食、歴史などが可愛らしいイラストでわかりやすく説明されている。
例えばいくつかの文明や古代大国の侵略、シルクロードなどの交易によって、食文化がミックスされていく様はとても興味深い。
また、本を見ながら自分が食べられるかそうでないかの好みもわかる。
私は奇怪な形をした南国のフルーツやパクチー類は全く食べられないので、東南アジアや南米のご飯は厳しいと思う。一方でヨーグルトを使っていたり、酸っぱい系だったり、お菓子が超絶甘いとかが大好きなので、おそらくアラブ、ギリシャなどの地中海食と言われるものは平気だな!と勝手に食べた気分を味わっている。

こうしてみると食というのはすごく奥が深い。私は日本で育まれた食文化を大切にしなきゃと思う反面、自分の食生活を省みると簡単に食べれるものばかりになっていると気づく。
私にとって食べるということは生きるためであり、楽しみでもある。料理をすることも大好きなので、まずは自分の口に入るモノから大切にしていこうと思った。

そして世界に目を向けてみると、自国を離れて暮らす人、戦禍の中に暮らす人々、病気で食事が難しい人などいろいろな状況の人がいる。それでも人間は食べ続ける。

口から食べるという楽しみ、目で見て楽しむ食事、大切な人と囲む食卓…。そうした当たり前のようで実は貴重な時間である食について考えさせられる本だった。

岡根谷さんのnoteは各国の食文化について紹介されているので興味のある方はぜひ。


ごちそうさまでした。



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