オヤジの兄を、
私は「ネコのおっちゃん」と呼んでいました。

私は、ネコのおっちゃんが大好きでした。

ネコのおっちゃんは独身生活が長かったこともあり、
私が小さい頃に
よく喫茶店などに連れてくれました。
本当に可愛がってもらった記憶があります。

私が高校生の時に、
ネコのおっちゃんは、
くも膜下出血で若くして亡くなった。

46歳だった。

今の私の年と同じです。
なかなか無念だったと思います。
深夜まで飲み歩くスタイルのバリバリ昭和の営業マン
先に体が悲鳴をあげたんですね、きっと。

その後、兄貴を亡くしたオヤジは、
心の拠り所を失った様に
だんだんとおかしくなっていったように思います。

最近ですが、

息子のサッカーの地域選抜練習のため、
私の昔住んでいた市まで
息子を練習に連れて行くことが増えました。

不思議なことに、私が会社を休職し始めたころ、
時を同じくして息子がサッカーの地域選抜に選ばれました。

前までのように働いていたら、
当然毎回練習に連れて行くことは難しかったので、
不思議な縁を感じていました。

そして、

新米の時期となり
急きょオヤジの実家(私の昔住んでいた場所の近く)へ、
生産を委託している農家の方が来られるとのことで、
新米を取りに行くことになりました。

我が家の一大イベントです。

明日もまたこの市に
息子のサッカーの試合に来ることになっています。

最近、よく来るなあ。

そう思っていました。

そんなことを思い出しながら
懐かしい道を運転していました。

その時です。

46歳で亡くなった、ネコのおっちゃん。

46歳で休職して退職した、私。

ひょっとして、ネコのおっちゃんに、
助けられて休職したりして・・・。

このままでは、俺のようになってしまうよ。
そうならないためにと休職に導いてくれたとか！？

なんだか、不思議ですが、
この考えが、なかなかしっくりきていたりします。

そして次の日。

息子のサッカーの試合に連れて行き
試合と試合の合間の時間が約1時間半ありました。

ふと、

近所にある、ネコのおっちゃんに墓参りに行こう。

そう思いつきました。

気がつけば車を走らせていました。

そして、墓の前に立ち、
水を手向け、手を合わせました。

そして、ごくごく自然に

と、心の中で言葉が勝手に出てきました。

それは、昔読んだ北野武の本の影響もあるかもしれません。

その時です。
突風が吹きました。

ちょっと驚きました。

その風でお墓の水道付近のバケツが
ひっくり返ったので、
これは、妄想ではありません。

あまりにも不思議なことに、
私もただただ驚きました。

だそうです。

守られている。
そう思えてとても安心できました。

もう少し、頑張ってみます。

なんしかカッコいい大人になろう。

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