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【映画雑記】「GODZILLA/ゴジラ」(1998)/作った本人が黒歴史認定、でも面白いよ。

 20年ぶりくらいにローランド・エメリッヒ監督「GODZILLA/ゴジラ」を観た。製作と脚本はディーン・デヴリン。90年代に青春を送った人間には好き嫌い問わず記憶される「インデペンデンス・デイ」のコンビです。

 当時は大きな両生類(字幕:戸田奈津子)で無性生殖をして、マグロ食って、ビル街を走り回るゴジラのキャラ変に違和感バリバリだったけど、庵野秀明が考案した段階を経た形態で成長する「シン・ゴジラ」やハヤカワSF文庫的なアプローチで攻めたアニメ「ゴジラSP」を経た今では全く違和感ないし、よく見ると2014年以降、「ゴジラVSコング」に至るレジェゴジによく似たツラなのね!立派に怪獣映画してた。その証拠にゴジラ映画十八番のご当地名所破壊も、クライスラービル、マジソンスクエアガーデン、ブルックリン橋などしっかり披露してましたし。物語の展開そのものも「原子怪獣現る」との類似点を公開当時から指摘されていたように記憶するが、今回改めて観てみるとちゃんとゴジラ映画だなと思いました。ゴジラ誕生の背景にフランスの核実験を匂わせていますしレジェゴジよりは基本に忠実だと思います。ゴジラの咆哮がちゃんとあの声という点も。前半はゴジラの全体像を焦らしつつ、盛り上がったところでゴジラVS人類(というか米軍)の戦いに一気に雪崩れ込んでいく。1984年版「ゴジラ」の新宿決戦を彷彿とさせてなかなかの見せ場になっています。やたらとフットワークのいい科学者がいるのも昭和ゴジラシリーズみたいでよかったですね。またその科学者の活躍によって判明するベビーゴジラの存在は、今でも賛否が別れるかもですが、「蒲田くん」「ウルティマ」などを既に知っている現在においてもはや目クジラ立てるところではないのではないでしょうか。ちなみに身体を気化(自らの意志で原子レベルに分解し、再構成する)させて神出鬼没な破壊を繰り返すゴジラを考案した人がいます。初代「ゴジラ」監督の本多猪四郎その人です。

 「ジュラシック・パーク」の影響を逃れていないCGのクオリティはいかにも「1998年!」という感じなのですが、破壊されるビルや橋はミニチュアで表現、ゴジラもカットによってはアニマトロニクスも活用していてデジタルとアナログの技術のバランスは非常に良いと思います。まぁ、デジタルネイティヴの若い世代の人からすると、「いやこれないっしょ」と引かれてしまう可能性も捨てきれないですがね・・・。

 蛇足だけどエンド・クレジットで流れるパフ・ダディ(w/ジミー・ペイジ!)も懐かしかった。レッド・ツェッペリン「カシミール」をサンプリングしたやつで、グラミー賞かなんかで2人登場して披露してた記憶がある。

 総じて全体的な印象は面白い怪獣映画を観たな!というもので、特に当時1回だけ見てつまんなかったな、なんて思った自分のような人にぜひ再見をおすすめしたい映画でした。ほんとに面白かったですよ。

ただ、ゴジラ誕生の引き金がフランスの核実験だったり、主人公がチェルノブイリ原発事故が生態系に及ぼした影響を調査してたり、自国のやらかしたことには全くもってスルーなのは「ザ・米国映画」という感じで呆れました。

と、ここまで書いて以下の記事を見つけました。

「みなさん、今ではほとんど期待せずにあの映画を観ますよね。“あれ、ぜんぜん良いじゃない”って思ってもらえてると思いますよ。」

いや、そうだったけど、自分で言うなよ・・・。

褒めた俺が馬鹿みたいじゃないか。

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