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【映画雑記】「マッドマックス 怒りのデス・ロード」地上波放送、頑張ったね、でもがっかりしたね、という話。

 一度の放送延期を経て、遂に放送されました。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。ここ数日、フジテレビでは番宣が繰り返し流れ「地上波編集版」という、それっぽく聞こえる言葉を強調していた。これについては全く文句はない。そもそも公開時は「R15」指定だったわけだし。俺はどの辺がカットされるのかをなんとなく気にしながら観ていた。ただ、冒頭のトカゲかじるとこで既にカットだったので、もうその先は期待しませんでした。秒単位でも血やグロはNGってことなんすね。普段、血塗れな映画ばっかり観ているので勉強になりました。
 まぁでも、これでマッドマックスに触れた人がたくさん出てきたのは素晴らしいことだし、トム・ハーディはやっぱりかっけぇと再確認できた。TwitterのTLが沸いたのもよかった。よかったよかった。

 だがな…。
 
 俺はおそらく年齢的にテレビの洋画劇場で育った最後の世代。放送開始から9時30分頃まではCMが入らない、10時ごろに5分くらいぶっ続けでCMが流れ、10時30分過ぎからエンディングまではCMが入らないというのが当たり前として心身に刻まれている。だから、昨今のゴールデンタイムの映画枠によくあるきっちり15分ごとのCMのタイミングを守る放送の仕方には違和感が拭えない。どころか、ふざけるなと抗議をしたいくらいだ。映画の冒頭20分くらいは、その映画に没入するために必要な大事な時間。やはり9時30分ごろまではCMなしにしてほしい。
 今日は9時15分頃にCMが入り、9時30分頃にマックスとフュリオサの格闘が終わる締めの止めの直後にCMが入った(しかもNETFLIXの!テレビ局はプライドなしか笑)。で、いま書きながら気づいたが、昔はCMに入る前は合図として映画のタイトルが表示されましたね。それがないから唐突に感じるんだ。いま、それを守っているのはテレ東の午後のロードショーだけじゃないすか?
 番組独自の吹替を作らなくなったのも時代の流れなんですかね。ここ10年くらい、テレビで放送される洋画は劇場公開時に製作された音源、ソフトに収録されている音源をそのまま使うようになった。「怒りのデス・ロード」の吹替は公開当時からボロクソに言われてましたが、EXILEのAKIRAがマックス役を担当。30年ぶりに復活したシリーズがヒットするかどうかワーナーが悩んで、集客のウリの一つとしてタレント吹き替えを選択したのは想像に難くない。とはいえ、あまりにも客層が被らない配役に絶句したのも事実。そんなファンの気持ちを汲んでか、昨年、CSの洋画チャンネル、ザ・シネマで独自の吹替が製作された。このバージョンの宮内敦士さんのマックスが素晴らしかった。イモータン・ジョーを演じたのが初代マックス吹き替えの安原義人さんっていうのも絶妙なキャスティング。わかりやすい一例を挙げると、ニュークスがイキがって、女どもを取り戻してくるとイモータン・ジョーに啖呵を切った直後にしくじる。このとき、ジョーは「使えねぇ奴だ!」と吐き捨てる。俺は正直、カリスマ独裁者がそんなこと言うかなとモヤった。ザ・シネマ版の吹替では、「凡庸な…!」。安原義人氏のタメの効いた演技も相俟って、やっと溜飲が下がった思いがしたなぁ。

 後味的にガッカリはしたけど、それでもやっぱり地上波で放送されたのは快挙だ。俺が小学生の頃、デヴィッド・リンチの「エレファント・マン」をゴールデン洋画劇場で観て立ち直れなくなったような衝撃を子どもたちに投げつけるべくテレビ局は頑張ってほしいぜ。

 あっ、今日の番組開始冒頭の作品紹介ナレーション、「愛の不時着」に無理やりつなげる全く無意味な内容が気になったけど、そうかNETFLIX提供枠だったからか!わかりやすーッ!

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