見出し画像

勝手にゲーミフィケーション大賞2022特別賞 受賞~『社長のおごり自販機』インタビュー

 こんにちは。「世界を神ゲーに」するゲーミフィケーション賢者のきっしーです。
2022年末に日本ゲーミフィケーション協会が開催した「勝手にゲーミフィケーション大賞2022」にて特別賞を受賞した、『社長のおごり自販機』(サントリー食品インターナショナル株式会社)の紹介とインタビュー記事です。
https://www.jgamifa.jp/award2022#7

2人揃うとタダになる特別な自販機

勝手にゲーミフィケーション大賞2022 特別賞
サービス名:『社長のおごり自販機
提供会社:サントリー食品インターナショナル株式会社

概要:テレワークの増加による職場のコミュニケーション不足を解消し、社長のおごりで飲み物が飲める自販機。2人で社員証かざすことにより無料(会社負担)になり、飲みながらの雑談が、コミュニケーション増加に貢献。何気ないおしゃべりからアイデアが生まれたり雑談が生まれて職場やチームをより良いものになることを目指す。
Hp:  https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/ogori/
動画: https://youtu.be/mHJ59qBm4cQ

受賞理由:大きな組織になればなるほど、同じ船に乗っている乗組員にもかかわらず、コミュニケーションをとった事がない社員が出てくるもの、とはいえ何かきっかけがなければ中々知らない人に会話を仕掛けるのはとても心理的ハードルが高い。このソリューションは、外発的報酬をきっかけに声をかける心理的ハードルを下げ、実は普段話さないけど気になる人や知り合いを増やしたいという内発的動機を満たす仕掛けを用意している点が非常に素晴らしいアイデア。また、同じ人とはしばらく間を開けないと飲み物を得られないといった仕組みもあり、より多くの人との交流を促す仕組みを提供している。ゲーム的要素がうまく仕掛けられた、非常に優れたゲーミフィケーションソリューションである。


タイミング良く二人でタッチする。

『社長のおごり自販機』の開発者で自販機LOVERの、森 新(もりあらた)さん(サントリー食品インターナショナル株式会社 マーケテイング部)をインタビューしました。

― 特別賞受賞のコメントをお願いします。

:この度はありがとうございます!実はゲーミフィケーションやナッジ理論については意識しながら、企画設計をしていたので、日本ゲーミフィケーション協会からご評価頂けたことはとても嬉しいです。

― そもそも、ゲーミフィケーションとの関りは?

:「社長のおごり自販機」にはいくつものゲーム性を随所に導入しています。例えば、「2人じゃないと使えない」であったり、「同じ組み合わせは週に1回まで」であったり、「10秒内に2人共に商品選択まで間に合わないと、おごってもらえない」など、高すぎず、低すぎない適度なハードルを設けています。

なお、私自身は、高知県の田舎で育ったので、あまりゲームとは関りは強くなかったですが、自然と格闘するというゲームルールを攻略して、自然から色々学んでいたタイプだと思います。ゲーミフィケーションとの接点は、ナッジ理論を学ぶなかで、行動変容を起こす手法には、合理的すぎないアプローチも存在している事を学ぶなかで、ゲーミフィケーションと出会ったというのがきっかけです。

― サービス開発のきっかけは?

: リモートワークとオフィスワークのハイブリッドな働き方へ舵を切る企業が増える中、デジタルでのコミュニケーションと対面でのアナログなコミュニケーションを使い分けるようになりました。その過程の中で、ふいに起こる「雑談」がどんどん減ってきており、「雑談ロス」という言葉まで出てくるようになりました。社会のIT化が大きく進む中で、デジタルコミュニケーションが普及することは不可逆的な社会の変化。
この進化の中で新たに生まれた「雑談ロス」課題に対して、サントリーとして何かお手伝いできることはないかと考え、比較的多くの職場にある自販機に注目し、”雑談のきっかけづくりになる自販機”を開発できないか、という思いから「社長のおごり自販機」が生まれました。

あとは、個人的な理由も一つあります。私は自販機がものすごく好きな人間なんです。この自販機LOVEをもって、職場における自販機の設置場所を見ると、お手洗いの近くや廊下の角みたいな場所に置かれていることが多いじゃないですか。それがすごく悔しくて……。なので、もっと自販機に付加価値をつけて、オフィスの「ど真ん中に自販機置きたい!」という想いの実現も本企画にはこっそり込めています。

― 開発で工夫したことは?

: ネーミングにはたくさんの議論を重ねました。元々は別のネーミングで社内テストを行っていましたが、とある利用者が、飲む瞬間に「社長!ゴチです!」と言っていた事にヒントを得て、このネーミングにしました。すごくカジュアルでいいなと。例えば、「コミュニケーション自販機」という名前だったとしたら、利用者同士で誘う時に、「コミュニケーション自販機に行かない?」という目的が直接すぎる形になってしまい、誘いづらいと思っています。一方で、「社長のおごり自販機」の利用者間、「おごり、いかない?」といった、誘い方をする方が多いです。このネーミングだと、直接すぎず、誘いやすい言葉になります。

― 開発で苦労したことは?

: 苦労したことはいっぱいありますね。自販機を外部信号で、制御する仕組みやシステムも0から設計・開発でしたし、2枚の社員証を同時に認証するシステムも同じく0からの設計でした。自販機から1本ではなく、2本を無料で払い出すという制御開発も容易ではなく、色々な思い出があります。初期は安定動作せず、私が自販機に張り付いて原因調査を何度も行ったのは特に記憶に残っています。かなり苦労もしましたが、大好きな自販機を通じて、お客様が笑顔になっている最高に嬉しい瞬間を見て、何度も元気を復活させていました!

― お客さまの反響は如何でしょうか?

: 「同期と久しぶりに会話できた」「共通の趣味がある人が複数見つかって部活になった」「職場に笑顔が量産されている」「職場の会話量が大幅に増えている」「名前と顔が一致する人が増えた」など嬉しいお言葉をたくさん頂いています。

― 今後予定しているゲーミフィケーション要素の入ったサービスはありますか?

: はい。まだ、具体的な内容はお答えできませんが、自販機の可能性を広げる挑戦は今も続けており、お客様にお届けできる日を迎えられるように日々準備をしています。自販機×ゲーミフィケーションで、社会にたくさんの驚き・ワクワク・感動をお届けできるように頑張ります!

以上、受賞おめでとうございました。

追記ですが、インタビューの中で、「おもろい」をやってみなはれ というサントリーの社風を知りました。その社風と森さんが出会った中で生まれたのが、『社長のおごり自販機』なんだと! これからも、自販機LOVEな商品に期待しています。

(おわり)
#世界を神ゲーに 。#ゲーミフィケーション #モチベーション #行動変容 #ゲミー
#日本ゲーミフィケーション協会 #勝手にゲミ ―賞2022 #特別賞 # 社長のおごり自販機 #サントリー食品インターナショナル株式会社
#jgamifa #gamification
執筆:岸本 好弘(日本ゲーミフィケーション協会 代表賢者Lv98)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?