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JPTの生み出す"価値"を広めていくには?

前回、「金銭的な利益だけが会社の利益ではない。JPTの生み出す目に見えない価値とは?」という記事では、社会の中でのJPTの立ち位置と生み出す価値、JPTが日揮グループで事業を行っていく意義、なぜJPTがITに特化しているのかなどをお伺いしました。
今回は、その間接的な価値について、社会に対してどう伝えていくのか、その難しさについて、成川さんにお話を聞いていきます。

(執筆:JPTアンバサダー  ゆみ)

▼全4回でお送りします
金銭的な利益だけが会社の利益ではない。JPTの生み出すとは?
JPTの生み出す”価値”を広めていくには?(本記事)
自分で自分のキャリアをつくれる会社をつくる。JPTの多様性の本質とは
JPTはどんな人でもウェルカム。社会の変化によっていかようにも変化していく

法定雇用率は、間接的な価値の指標のひとつ

ー日揮グループ内でJPTをやっていくからこそ、”梃子”が効く。間接的な価値を生み出して、尖っていけるというのをお話を聞いて感じましたが、その部分についてもう少しお伺いできますか?

(成川)
間接的な価値は、"梃子”の振れ幅が大きいんですよね。

「社会が」という言い方だとぼんやりしてしまいますが、メディアなどでいろいろ取り上げていただいて「みんな知っているかもね」という感じになってきて。
ただ、そのままだと、価値に値段はつけられないんですよね。
日揮の経営者が「良かったね」と思えるような価値を示していかないといけないんですが、それはまだまだ十分じゃないなと思っています。

でも、わかりやすい指標の1つが、障害者雇用の法定雇用率です。
これは直接的な価値ではなく、間接的な価値だと思っているんですが、それを今年達成できたんです。ようやく雇用率が2.3%(今の法定雇用率)を越えて、今年の6/1で2.46%に達したんですね。

今まで日揮が越えられていないところで、達成の仕方も数合わせでしたことではなくて、戦力になる人をバランスの取れた処遇で採用して達成した。日揮にいる人たちならどれだけ難しいことかわかっていると思うので、それは頑張ったなと思います。

▼成川さんが障害者雇用や法定雇用率について書いた記事はこちら

数字で測れないからこそ、ベネフィットが大きい

(成川)
でも、この先というのは、そうじゃないところまで波及させていかなければならないなと思っています。

例えば、日揮グループの従業員から、「日揮って障害者雇用ちゃんと頑張っているよね」「励まされる」っていう声とかが出てくるようになったり。
だって、障害に関わりがない人なんてほぼいないんですよね。先輩後輩とか、子どもが…とか、必ず接点がある。
だから、応援してもらうようなメッセージをもらうことも増えたんですよね。

そういうものの積み重ねが、会社にとってのエンゲージメントになるし、退職率が少し減ったり、採用のときの1つの売りになれば、すごくいいなと思います

あとは、経産省のニューロダイバーシティ活用のイベントに出たり、レポートに先進事例として載せてもらったりしたんですが、そういうのも1つですね。
「日揮頑張っているんだよ」というのを公の機関に認めてもらうことはすごくいいことで。

ただ、それがいくらになるの?というのはすごく難しい。
でも、測れないからこそ、どこまでもベネフィットを大きくしていける、その余地があるのかなと思っています。

大きな会社だからこそ成立している

ー日本は大きな会社がやっていくと変わりやすいんじゃないかなと思っていて、その価値を広げていけたらいいのかなと思いました。

(成川)
そうなんです。大きな企業だからこそ成立すると思ったんですね。
やっぱり”つよつよ”な人たちが大半で、日揮で言うとマネジメント気質な人がたくさんいて、そうでない人たちに適した仕事がたっぷり置き去りになっていたから、今の働き方ができていると思っている。

だから、中小企業とか他のところでどうしたらいいかは僕にはわからないです。行ってみて感じるもの、わかることはあると思いますが、どうしたらいいかはそこに合ったやり方があるのかもしれないと思います。


ビジネスの世界においては、経営者は利益や目に見える数字を求められることは当たり前のこと。
一方、JPTの生み出す価値は数値化すること、お金に換算することはとても難しく、数字や目に見える指標でとらえる人であればあるほど、それは伝わりづらい、理解を得られにくいようにも思います。

その中で、JPTが今年、法定雇用率である2.4%を超えたという事実は、単なる目標達成や社会の求めに応じたことを意味しているわけではありません。
精神疾患や発達障害を抱えていて、環境が合えば本来の力が発揮できる人を、見合った処遇で採用するという、これまでにないやり方の結果、数字を達成している。
このプロセスや結果には、数字に表せられない価値・意義が存在していると私は思います。

例えば、
JPTでいえば、これまで社会で働くことに困難を感じた人が、自分らしく、いきいき働ける。
"つよつよ"ではない人であっても、自分の得意なことや好きなことで顧客に貢献し、さらにスキルを高めていける。報酬も得られ、望んだ暮らしができ、一人ひとりの幸福感を生み出している。

日揮グループでいえば、自社のIT化が進むことはもちろんのこと、このような取り組みをしているグループ会社があることを社員が知ることで、エンゲージメントが高まり、幸福感を生み出している。
社会の追い風もあり、日揮グループの社会の中での立ち位置も今までとは違う形になっていく。

社会という枠で見れば、JPTというこれまでにない特例子会社があることにより、今まで働けなかった人も活躍できることが世の中に伝わる。
人口減少で常に人手が足りていない労働市場の中で、これまで社会が考えたこともないやり方で活路を見いだせる可能性がある。
それを日揮という大企業のグループ会社が進んでやること自体が、障害者雇用はもちろん、社会に対するインパクトを与え、変わっていける可能性や希望をも生み出している。

JPTの価値というのは、そんな希望の光を持つものだと感じました。
先陣を切って進み、その努力の積み重ねの先に、新しい社会が生まれる可能性がある。JPTがJPTらしく存在していくことが、社会を変えるかもしれない。

こうしたやり方が本当の意味で在野に広がっていくには、現実的にはこれからかもしれません。
それでも、この公式noteやメディアでの取材、イベントなどで少しずつ存在を知られていくこと。何らかの形でJPTを知った人たちが、誰かにJPTのことを伝えていくこと。
"つよつよ"だけではなく、目に見えない、間接的な価値も大事にされるような社会になってほしい。

私も、JPTの価値を信じて一緒に種をまき、いつか芽を出すのを待つひとりでありたい。
成川さんのお話を聞いて、そんな風に思いました。

さてここまでの2回は、JPTの生み出す価値について、JPTの理念とも近しい抽象的なお話を伺ってきました。
次回からは、より具体的にJPTの持つ多様性・働き方の根本にある考えについて、成川さんのお話をお伺いしていきます。楽しみにしていてください!

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